参議院法制局

議員立法Stories

「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」及び
「国際文化交流の祭典の実施の推進に関する法律」の立案を振り返って

A課長(入局22年目):平成30年6月、「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」及び「国際文化交流の祭典の実施の推進に関する法律」が成立しました。それぞれの成立までいろいろあったけど、今国会で成立させられて本当に良かったですね。関係団体の方も喜んでくださったみたいで安心しました。

Cさん(入局7年目):4人の中で2つの法律に一番長く関わったのは、Bさんと僕ですね。障害者アートの法律の方は僕たちが着任してすぐの頃に依頼を受けたので、丸2年ですし、祭典の法律については、僕たちですら前任から引き継いだ案件です。そういう意味では、これまでたくさんの人の努力があって実になったと言える気がします。

Dさん(出向者):僕は、平成29年の12月に出向してきて、それ以降のことしか関わっていないですが、こういう議員立法を支える仕事は、見ていてとても新鮮でした。僕は立案経験がない状態だったので、「そもそも推進法って何?」って感じだったんですけど。

Bさん(入局14年目):そうだね。あまり知られていないタイプの法律かもしれないね。罰則や許認可制度を作るわけではないけれど、政府・自治体に政策の方向性を示して、計画による具体化、継続的な予算獲得などを求めるものだから、社会に影響力のある大切なものだよ。

A課長:祭典の法律をより良いものにするために、BさんとCさんには実地調査にも行ってもらったんだよね。

Cさん:芸術祭を見に行きましたね。ヴェネチア・ビエンナーレやカンヌ国際映画祭のような世界レベルの祭典を目指すということが法律の大きな柱なわけですが、どうやったら法律によって日本の祭典を後押しできるかいろいろ考えましたね。あのとき、実際の現場で調査をしたことで、単に頭で理解するだけではなくて、肌感覚として祭典のことを理解できたような気がします。もちろん、それが立案過程の議論にも生きました。

Dさん:障害者アートの法律も大変だったと思うんですけど、どうでしたか?文化関係と福祉関係の両方に精通していないと、なかなか書けないものだと思ったんですが。これをまっさらな状態から作るって本当に大変そうです。

Bさん:「福祉」は以前に担当したことがあったけど、「文化」は初めてだったから大変だったね。まずは、実際に作品を見に行ったり、関係する文献を読みあさったりして、情報を仕入れて......。そこで感じたこと・見えてきたニーズと、今までに蓄えてきた法律・制度についての知識を結びつける、という進め方だったね。

Cさん:僕も、これまでに5つの部署を経験してきましたが、いろんな分野を学んだからこそ出てくる知見ってありますよね。例えば、有識者会議の位置付けなんかは、農水・環境分野の立案経験が役立ったな。

A課長:参議院憲法調査会事務局(憲法審査会事務局の前身)への出向を含めて、私もいろいろな部署を経験してきましたが、後になって「あのケースと似てるから、そこからヒントが得られるかも」なんて思うときも少なくないですよ。課員みんながそれぞれ違った経験をしているから、立案に向けた議論をしているといろんな角度から物事を見られるよね。そして、今回担当した法案の経験は、きっと次の立案に生きてくる。

Dさん:いやはや、みなさん本当にお疲れ様でした。僕はみなさんが頑張ってきた結果が成果として現れるときに、偶然立ち会えたわけですね。ラッキーだったなぁ。

Bさん:いやいや、Dさんも十分活躍したよね。来てくれた頃は、もう法律案はできていたけど、議員と一緒に議事堂や議員会館を走り回っていて、それはそれで忙しい時期だった。法律案がまとまってから、提出・国会審議にこぎ着けるまでの調整をするのも仕事の一つ。Dさんには、法制局の立場で、議員の答弁補佐の場にも立ち会ってもらったね。

A課長:その意味では、貴重な経験をしましたね。議員を支えながら一緒に法律案成立に向けて進んでいくことも、法制局で働く醍醐味です。

Cさん:そうですよね。二人三脚と言うと言い過ぎかもしれませんが、議員の"熱意を形に"が、僕たちの大きな仕事です。

 Dさんとは、法律案が本会議で成立する瞬間も確認しに行きましたね。議員をはじめ、多くの関係者の想いが結実した瞬間でしたね。

Dさん:僕がこちらでお世話になってみての印象ですけど、「後ろから支えるプロフェッショナル」って感じですよ。でしゃばらず、でもしっかり国会を支えているっていうか。実際に議員との協議に同席させてもらうと、「法制局って本当に頼りにされているんだなぁ」と感じます。「法制面・理論面のことは頼りにしてるからね!」みたいなときもありますし。

 あと、課内で議論するときには本当にフラットな感じですよね、誇張なしで。僕なんかが課内での議論で「これってどうなんですかね?」なんてこと言い始めても、ちゃんと耳を傾けてくれます。的を射たことであれば、来たばかりの僕の案でもちゃんと採用してくれました!

Bさん:"フラット"というのは、大きいアピールポイントだね。"三人寄れば文殊の知恵"的なみんなで考える体制だから、入ってすぐに議論に加わることになる。

Dさん:最初はびっくりしました。初めて議論に参加するときは緊張しました。

A課長:当局は、議員の依頼があって動き出す組織ですが、今回のように、時々の社会情勢に応じたタイムリーなテーマや、議員がライフワークとしているテーマを扱うことが多いですね。それに、課員みんなの力を結集し、知力を尽くし、形にしていく......大変ですが、楽しいものですよ。そういう楽しみを共有してくれるクールヘッド・ウォームハートを備えた方をお待ちしています!