法制執務コラム

祝日でない記念日


 前号は、「国民の祝日」がテーマでした。今回は、「国民の祝日」以外にも法律で記念日とされている日があるというお話です。

 「祝日でない記念日」には、次のようなものがあります。

 まず、6月5日は「環境の日」です。これは、平成5年制定の環境基本法に規定されています。この日は、国連の「世界環境デー」に当たります。この「世界環境デー」は、1972年6月5日からストックホルムで開催された国連人間環境会議において日本政府が提唱したことがきっかけとなり、国連総会で決定されたものです。

 次に、7月の第3土曜日は「勤労青少年の日」です。これは、勤労青少年福祉法に規定されています。今回紹介する中で最も古く、昭和45年の同法制定時に設けられました。7月の第3土曜日といえば、15日から21日までの間で年によって変わるわけですが、この期間にほぼ「やぶ入り」の日が含まれることが、選ばれた理由です。「やぶ入り」とは、嫁に出た娘や奉公人が実家に帰る日のことで、お正月(1月)とお盆(7月)の16日ごろを指します。(昨今の勤労青少年は、「やぶ入り」と言われてもよくわからないかも知れませんが。)

 そして、10月1日は「国際音楽の日」です。これは、平成6年制定の音楽文化の振興のための学習環境の整備等に関する法律に規定されています。この日は、ユネスコと協議・協同関係を有する非政府組織である国際音楽評議会(IMC)が定めた「国際音楽の日」に当たります。1975年、カナダでIMCによる最初の世界音楽週間が開催された際、当時の会長ユージン・メニューヒン氏が、10月1日を「国際音楽の日」として世界中の人々に生活における音楽の意義を認識する機会を与えることを呼びかけ、これを受けて、1977年のIMC総会で決定されたものです。

 最後に、12月9日は「障害者の日」です。これは、平成5年に「心身障害者対策基本法」が改正されて「障害者基本法」となった際に法律上明記されました。この「障害者の日」は、もともと政府が、昭和56年に国際障害者年を記念して定めたものでした。その際、「障害者の権利宣言」が国連総会で採択された日(1975年12月9日)が最もふさわしいと考えられたものです。なお余談ですが、国連は、「障害者に関する世界行動計画」が国連総会で採択された日(1982年12月3日)を踏まえ、1992年の国連総会で12月3日を「国際障害者デー」と定めました。日本と世界とで記念日にズレが生じたわけです。しかし、平成5年改正法の公布日(いわば障害者基本法の誕生日)を12月3日とし、平成7年には、毎年12月3日から9日までの1週間を障害者週間と決めたことで、国際的な取組みとうまく調和したような気がします。

 さて、これらのうち、皆さんはいくつ御存じでしたか?

 これらは、いずれも国民に対するPRのために設けられたものです。国及び自治体は、各記念日の趣旨の普及に努めたり、ふさわしい事業の実施に努めたりすることが法律上求められています。実際、様々な形で、広報活動や記念行事が行われているようです。「国民の祝日」と比べれば、一般の認知度は決して高くはないでしょうが、これらが法律で定められていることの意味を受け止め、関心を持っていきたいものです。

(武蔵誠憲/「立法と調査」NO.224・2001年7月)


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