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キャッシュレス決済

 最近、クレジットカード決済のみならず、電車やコンビニ・スーパーの各種電子マネー・プリペイドカード、これらとひも付けられたスマホ決済(QRコードを使う方式、タッチ方式等)など、様々な形態の「キャッシュレス決済」が登場しています。

 こうしたキャッシュレス決済は、私たち消費者にとって、大金や小銭を持ち歩くことなく買い物ができる、消費履歴が残るので家計管理が簡単になるといったメリットがあります。また、店舗・事業者側にとっても、現金管理の手間を削減することができる、消費者の購買データを分析・活用して高度なマーケティングや新商品・サービスの開発に生かせるといったメリットがあります。さらには、新型コロナウイルス感染リスクを抑えるという意味でも、現金のやり取りを伴わないキャッシュレス決済への注目が高まっています。こうしたことから、政府としてもキャッシュレス決済を積極的に推進しており、令和7年6月までにキャッシュレス決済比率を4割程度まで引き上げることを目標にしています(成長戦略フォローアップ(令和2年7月 17 日閣議決定)等)。

 キャッシュレス決済は、技術の進展に伴って様々な形態が登場していますが、それぞれの特徴に応じて、利用者保護等の観点から法整備が行われてきました。

 例えば、後払い方式であるクレジットカード決済については、 使い過ぎ・過剰与信の防止の観点から、カード事業者(包括信用購入あっせん業者)は、利用者の支払能力を超える極度額(いわゆる利用限度額)を設定しないようにすべきことが定められています(昭和 59 年の割賦販売法改正で努力義務化され、その後平成 20 年の同法改正で原則義務化されました。)。

 また、前払い方式である電子マネー・プリペイドカードについては、事業者の破綻の際に利用者を保護するため、発行者に原則として未使用額の2分の1以上を供託すること等が義務付けられています(従来は前払式証票の規制等に関する法律においてプリペイドカード等が規制対象とされていましたが、平成 21 年の資金決済に関する法律の制定により、実体(ICカード等)を持たないサーバー型の電子マネーも規制対象とされました。)。

 さらに最近では、仮想通貨(暗号資産)という、法定通貨建てではなく、電子的な方法により記録される財産的価値が登場し、決済手段として用いられるだけではなく投資の対象ともなっており、平成 28 年及び令和元年の資金決済に関する法律の改正で、マネーロンダリング対策や利用者保護の観点等からの法整備が行われました。また、現在では、「デジタル円」など法定通貨のデジタル化までが日本を含む世界各国で実証実験の段階に入っています。ここまでくると、「お金」の概念そのものが変容しつつあると言えるでしょう。こうした変化に対応した法整備が今後どのように行われていくのか、興味深いところです。

  • ※ この記事は、参議院法制局の若手・中堅職員の有志が編集・執筆したものです。2021年11月に編集・執筆したものですので、現在の情報と異なる場合があります。なお、本記事の無断転載を禁じます。