参議院法制局

改元とそれに伴う法律改正について

 令和元(2019)年5月1日から元号が令和となり、平成という一つの時代に終止符が打たれました。この改元のちょうど1か月前、平成31(2019)年4月1日に、菅官房長官が「令和」と書かれた色紙を掲げて新元号を発表しましたが、これを生中継で御覧になった方も多いのではないでしょうか。

 ところで、元号はどのように改まるのでしょうか。

 元号については、元号法(昭和54年法律第43号)という法律があり、第1項で「元号は、政令で定める。」、第2項で「元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。」と規定されています。「皇位の継承」がいつ行われるかというと、皇室典範(昭和22年法律第3号)第4条で、「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。」と定めています。したがって、一般的には、天皇が崩じて皇位の継承がなされ、新しい元号を定めた政令が施行されることで、元号が改められることになります。

 元号については、元号法(昭和54年法律第43号)という法律があり、第1項で「元号は、政令で定める。」、第2項で「元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。」と規定されています。「皇位の継承」がいつ行われるかというと、皇室典範(昭和22年法律第3号)第4条で、「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。」と定めています。したがって、一般的には、天皇が崩じて皇位の継承がなされ、新しい元号を定めた政令が施行されることで、元号が改められることになります。

 昭和から平成への改元では、昭和天皇が崩御された昭和64(1989)年1月7日に公布された「元号を改める政令」(昭和64年政令第1号)で、新しい元号を「平成」とすること、及びこの政令が公布の日の翌日から施行されることが規定され、1月8日から、元号が平成となりました。

 これに対し、平成から令和への改元は、平成29(2017)年に制定された「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」(以下「特例法」という。)に基づいて行われた特例的なものです。

 すなわち、平成29(2017)年6月の特例法の公布後、同年12月13日に特例法の施行期日を平成31(2019)年4月30日とする政令が公布され、同日限り天皇が退位し、皇嗣であった徳仁皇太子殿下に皇位の継承が行われることとなりました(いわゆる生前退位)。その後、平成31(2019)年4月1日に、「元号を改める政令」(平成31年政令第143号)が公布されました。この政令は、「元号を令和に改める。」と規定し、その施行日は、特例法の施行の日の翌日とされました。これにより、令和元(2019)年5月1日から元号が令和となりました。

 このように、平成から令和への改元については、皇位の継承があらかじめ法律によって定められていたために、国民への一定の周知期間を確保して行うこととなった

 さて、改元があった場合、古い元号を用いた法律上の文言はどうなるのでしょうか。例えば、令和7(2025)年に開催される日本国際博覧会(大阪・関西万博)は、法令上「平成三十七年に開催される国際博覧会」とされていますが、改元に伴い、「平成三十七年」を「令和七年」に改めるための法改正を行う必要があるのではないか、という疑問も生じます。

 この点、元号の年表示の取扱いに関する政府の申合せ(「改元に伴う元号による年表示の取扱いについて」平成31年4月1日)では、「法律及び政令については〔...〕改元のみを理由とする改正は行わないものとし、改元以外の理由により改正を行う際に、当該法律又は政令の全ての規定について改元に伴う必要な改正を併せて行うものとする。」としています。「平成三十七年」という表記のままでもそれが西暦2025年、すなわち令和7年であることは、解釈上明らかであり、改元のみを理由として、一つ一つ法令の改正を行っていく必要はないということなのでしょう。

 改元以外の理由により法律が改正される際に併せて元号の表記の改正も行った例を一つ紹介すると、構造改革特別区域法の一部を改正する法律(令和元年法律第65号)があります。この法律は、清酒の製造を体験するための製造場の製造免許に係る酒税法の特例措置などを追加するため、構造改革特別区域法の改正を行うものですが、このような実質改正と併せて、附則第4条(構造改革特別区域計画の認定の申請期限)等にある「平成三十四年」の表記を「令和四年」とする形式的な改正も行いました。

  • ※ この記事は、参議院法制局の若手・中堅職員の有志が編集・執筆したものです。2020年4月に編集・執筆したものですので、現在の情報と異なる場合があります。なお、本記事の無断転載を禁じます。