法制執務コラム

国勢調査について

 本年(平成27 年)国勢調査が実施されました。

 国勢調査は、我が国の人口や世帯の姿を明らかにする最も基本的な統計調査として、日本国内に常住する全ての人(外国人を含みます。)及び世帯を対象に実施されるものです。終戦直後の昭和20 年を除き、大正9年以来5年ごとに実施されています。

 国勢調査は、統計法第5条第2項本文の規定に基づく国勢調査(いわゆる大規模調査)と同項ただし書の規定に基づく簡易な方法による国勢調査(いわゆる簡易調査)を交互に実施することとされており(両者は調査項目に違いがあります。)、今回の調査は、後者に当たります。

 そして、国勢調査は重要な統計調査であるため、総務大臣には国勢調査を実施することが義務付けられています(同条第1項及び第2項)。また、調査対象者には報告が義務付けられており(同法第13 条)、報告の拒否や虚偽の報告をした場合の罰則も規定されています(同法第61 条第1号)。

 国勢調査の結果は、公表され(同法第8条第1項)、行政施策の基礎資料として国や地方公共団体において利用されることはもとより、民間企業等においても利用され、これらを通じて国民生活に広く役立てられています。

 国勢調査の結果の利用が法定されているものもあり、例えば、地方交付税法第12 条において、地方交付税の交付額の算定に当たり最近の国勢調査による人口、都市計画区域における人口、町村部人口等を用いることが定められています。また、衆議院議員選挙区画定審議会設置法第3条において、衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案の作成は最近の国勢調査による人口を基に行うことが定められています。

 他方、参議院選挙区選出議員については、国勢調査による人口を基準として定数を是正することは法定されていませんが、従来国勢調査による人口を基準として定数是正が行われています。本年7月に成立した公職選挙法の一部を改正する法律(平成27 年法律第60号)により、4県2合区を含む10 増10 減による較差の是正が行われることになりましたが、この改正は、直近の平成22 年の国勢調査による人口を基準として行われたものです。

 ちなみに、この公職選挙法の一部を改正する法律により、参議院選挙区選出議員の選挙区間における議員1人当たりの人口の較差は、平成22年の国勢調査の確定値によれば、最大で4.75倍から2.97倍に縮小されることになりますが、この法律の立案に携わった者としては、本年実施された国勢調査の結果を受けて、この較差がどう変動するのかが気になるところです。

 (安藤美幸/「立法と調査」NO.370・2015年11月)


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