法制執務コラム

附則による法改正の有名どころ-地方自治法の改正の多さ

 法律の改正には、本則で行われるものと、附則で行われるものがありますが、改正の内容が、法律の制定改廃に伴って付随的に必要となるものである場合には、附則で行われるものとされています。この附則で行われる法律の改正については、本則の内容に応じてどのような改正が行われるのかが様々であるため、具体的な改正の内容に関して一般的な説明をすることは難しいところです。

 とはいえ、附則で行われることの多い法律改正というようなものは幾つか挙げることができます。

 例えば、総務省設置法、法務省設置法といった各府省の組織について定めた設置法の一部改正があります。平成13年に行われた中央省庁等改革により各府省の担う事務の範囲の明確化が図られましたが、法律の制定改廃の結果、府省の所掌事務に追加や変更が生じるときには、その府省の設置法の中の所掌事務に関する規定を改正し、その追加や変更を反映させることとなっているため、この改正が散見されるのです。

 住民基本台帳法の別表の改正もその一例です。住民票に記載された本人確認情報は、国の行政機関等や地方公共団体の事務の処理のために提供され、又は利用されることがありますが、特に、いわゆる「住基ネット」を通じた本人確認情報の提供等については、個人情報の保護の観点から、条例で定める事務等を除き、どのような事務について提供等が行われ得るのかを別表に列挙し、法律上明確にしています。このため、国の行政機関等の事務の新設等に伴い、住民基本台帳法の別表の改正も行っている例が見受けられます。

 それでは、このようなものの中で最も有名なものは何かと言えば、地方自治法の別表の改正ではないでしょうか。地方公共団体が処理する事務は、「自治事務」と「法定受託事務」に分類されますが、このうち、地方自治法以外の法律に基づく法定受託事務については、地方自治法の別表に列挙することとされています。このため、法律において法定受託事務の新設改廃があると、この別表の改正が行われます。さらに、この別表には事務の根拠規定も書かれていますので、その条ずれがあったときにも改正が行われます。

 地方自治法の改正沿革を御覧になると、その改正の多さに驚かれるのではないでしょうか。数だけ見ると、そんなに頻繁に制度が変わっているのかと思われるかもしれませんが、最近の改正の多くは、法定受託事務の新設改廃等に伴う別表の改正なのです。新設改廃のたびに法律改正をしなければならないのは面倒だと感じるかもしれませんが、地方分権の観点から、法定受託事務について創設が抑制され、また、適宜見直しが行われるべきものとされていることを踏まえ、このような仕組みが採られたのです。
  
(高澤和也/「立法と調査」NO.296・2009年9月)


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