法制執務コラム

法令の中の色

A:法律の条文を読んでいると真っ黒な文字ばかり並んでいて味気ないですね。

B:法律は、基本的に文章で構成されているものだから仕方がないね。とはいえ、法律の世界にもカラフルな一面があるよ。例えば、国旗及び国歌に関する法律(平成11年法律第127号)別記第一を見てごらん。

A:日章旗の制式について「二 彩色」のところに、地は「白色」で、日章は「紅色」とありますね。日の丸は、「赤色」ではなくて「紅色」なんですね。

B:意外だったかな。「赤色」とした場合には、その意味する範囲が広くなってしまうから、鮮やかな赤であるということを意味するために「紅色」とされたらしいけどね。それに、昔の話になってしまうけれど、海軍御旗章国旗章並諸旗章(明治3年太政官布告第651号)では、日章旗について「御国旗 白布紅日章」と定めていたし、また、成立には至らなかったけれど、昭和6年、帝国議会に議員が発議した大日本帝国国旗法案の第2条では「日章ハ紅色トシ」と規定していたからね。

A:なるほど。「紅色」について、現行の法律を調べてみると、海上衝突予防法(昭和52年法律第62号)で、「両色灯」の定義の中に「紅色及び緑色の部分からなる灯火」(同法21条3項)と出てきたり、「紅色の全周灯」(同法25条4項、26条2項1号等)という用例もあります。

B:まあ、日章の色と船舶の灯火の色とは、見た目は随分違うかもしれないけれど、色を表す用語には限りがあるし、当該用語の選択の適否は、各法律の規定の趣旨に照らして判断するしかないんじゃないかな。

A:ちなみに、現行の法律における「赤色」を調べてみると、毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)12条1項で、毒物には赤地に白色の「毒物」の表示をする義務を、劇物には白地に赤色の「劇物」の表示をする義務を定めている例や、刑法(明治40年法律第45号)の危険運転致死傷罪に「赤色信号」(同法208条の2第2項)という例があります。

B:今言ってもらった用例では、「紅色」より「赤色」が適切なんだろうね。赤系統の色を中心に話題にしてきたけれど、他の色はどうかな。「青色」、「黄色」及び「赤色」の信号の種類を定めている道路交通法施行令(昭和35年政令第270号)2条とか、衆参の記名投票の際の白票(白色票)と青票(青色票)とか(衆議院規則153条、参議院規則139条)、下位法令では色々な色が使用されているようだから、なぜその色と決められたかの由来を含めて調べてみると面白いかもしれないね。

(齋藤陽夫/「立法と調査」NO.270・2007年7月)


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