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スポーツ振興にまつわる法律

 令和元年に日本で開催されたラグビーワールドカップ(以下「ラグビーワールドカップ2019」という。)は、日本チームの快進撃と選手の人柄の良さから社会現象と言えるほどのラグビーブームを巻き起こし、大変な盛り上がりをみせました。これも一つのスポーツ振興の成果と言えますが、今回は、どのような法律によってスポーツ振興が支えられているのかご紹介します。

 まずは、「スポーツ基本法」です。この法律は、昭和36年に制定されたスポーツ振興法を平成23年に全部改正したもので、前文において「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」と明記し、「スポーツ立国の実現」を目指すとした上で、スポーツに関する基本理念、国及び地方公共団体の責務、スポーツ団体の努力、スポーツに関する施策の基本となる事項等を定めています。

 なお、ラグビーワールドカップ2019においては、平成28年2月24日に「ラグビーワールドカップ2019の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針」が策定され、スポーツ基本法が目指す「スポーツ立国の実現」のための対策として、競技力強化や地域におけるスポーツの振興等の取組を推進するとされました。

 また、過去に国内で開催されたオリンピック大会やワールドカップサッカー大会については、その円滑な準備・運営のため特別措置法が定められましたが、ラグビーワールドカップ2019においても「平成31年ラグビーワールドカップ大会特別措置法」が制定されており、寄附金付郵便葉書等の発行の特例や大会の運営者の職員に関しての特例等が設けられました。

 次に紹介するtotoでおなじみの「スポーツ振興投票の実施等に関する法律」は、多種多様なスポーツを振興するために必要となる資金の確保を目的として制定されたものです。スポーツ振興投票の対象は、サッカーと法律で明記されていますが、これは、サッカーが、国民に人気があり、プロスポーツとして安定的に試合が行われる体制が整っていること、選手個人の負担を避けやすい集団スポーツであること、諸外国で成功しており、ノウハウが蓄積されていることなどの理由からです。この投票には、試合結果を購入者が予想するものやコンピューターが選ぶものなどがあり、この収益は、スポーツ施設の整備、スポーツ活動の助成などに使われています。

 最後は、「国民の祝日に関する法律」です。昭和41年に改正され、「スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう」日として体育の日が設けられました。その後、50年以上にわたり広く国民の間に定着していましたが、学校教育としての「体育」のイメージが強いとして、平成30年の改正でスポーツの日に名称が変更されました。また、その趣旨も「スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う。」に改められました。

 以上のようにスポーツ振興は様々な法律によって支えられていますが、スポーツの楽しみ方は、自らスポーツを行うだけでなく、観戦する、ボランティアで支えるなど様々です。皆さんもそれぞれの形でスポーツに親しんでみてはいかがでしょう。

  • ※ この記事は、参議院法制局の若手・中堅職員の有志が編集・執筆したものです。2020年4月に編集・執筆したものですので、現在の情報と異なる場合があります。なお、本記事の無断転載を禁じます。