参議院法制局

審議会

  平成10年に成立した中央省庁等改革基本法を受け、第145回国会で内閣法の一部改正法、内閣府設置法、各省等の設置法、行政組織関係法律の整備法等が、また、第146回国会で中央省庁等改革関係法施行法が成立しました。そこでは、省庁等の数の削減が行われたほか、審議会等の数及び審議事項についても大幅な整理が行われました。

 審議会とは、国の行政機関に附属し、その長の諮問に応じて、特別の事項を調査、審議する合議制の機関をいい、国家行政組織法8条の「法律又は政令の定めるところにより、重要事項に関する調査審議、不服審査その他学識経験を有する者等の合議により処理することが適当な事務をつかさどらせるための合議制の機関を置くことができる」との規定を根拠に行政機関に設置されます(このため「八条機関」と呼ばれます。)。

 八条機関として他に「協議会」「審査会」「調査会」等の名称を持つものもあります。

 このような審議会の制度の目的としては、行政への国民参加、専門知識の導入、公正の確保、利害の調整等が挙げられています。

 審議会の委員の任命については、設置の根拠となる法令に規定が置かれます。

 一定の資格要件を有する者の中から所轄の行政機関の長が任命するとするものがほとんどですが、任命につき国会の同意を要するいわゆる国会同意人事となっているものもあります。

 任命される者の資格要件は、審議会の目的・機能により多様です。大所高所から政策について意見を述べてもらう等の目的で、学識経験者から任命するとするものが多く見られますが、関係当事者間の利害調整を目的とする審議会などにおいては、対立する利益集団の代表委員と公益委員からなるいわゆる三者構成が採られることもあります。

 審議会は、その機能に着目して参与機関と諮問機関に分類することができます。

 参与機関は、法の適用の公正を図る等の目的で行政機関の意思決定に参与するもので、行政機関はその答申に法的に拘束されます。

 これに対し、諮問機関は、重要政策、基本的施策等に関する行政機関の意思決定に当たって意見を述べるもので、答申に法的拘束力はありません。答申の尊重義務が法文上明示されている場合もありますが、その場合も同様です。

 参与機関と諮問機関の区別は、問題となる審議会に関する個々の法令の規定の文言や、その諮問に関する規定全体の趣旨から判断されます。

 審議会が諮問機関である場合、その答申に法的拘束力がない以上、それに係る施策等を最終的に決定するのは諮問した行政機関自身であり、その施策等に関する責任はその行政機関が負うべきものです。しかし、審議会の制度に対しては、このような責任の所在をあいまいにする、いわゆる「隠れみの」であるとの批判がありました。そこで、中央省庁等改革基本法は、政策の企画立案又は政策の実施の基準の作成に関する審議を行うものは原則として廃止する等の方針を掲げ、これを受けて各省設置法や整備法などで政策審議機能を有する審議会などが大幅に削減されました。また、答申の尊重義務の規定も、政策の決定の責任は行政機関の長にあることをより明確にする趣旨で、原則として削除されることとなりました。

  • ※ この記事は、参議院法制局の若手・中堅職員の有志が編集・執筆したものです。2020年4月に編集・執筆したものですので、現在の情報と異なる場合があります。なお、本記事の無断転載を禁じます。