法制執務コラム

法令における送り仮名

 法令の表記では、①「行う」と「行なう」のどちらを用いるべきでしょうか。②「取り扱い」「取扱い」「取扱」ではどうでしょうか。

 送り仮名については、一般の社会生活で現代の国語を書き表すためのよりどころとして「送り仮名の付け方」(昭和48年内閣告示第2号。以下「付け方」という。)が定められていますが、法令における送り仮名の付け方については、「法令における漢字使用等について」という内閣法制局の通知(昭和56年内閣法制局総発第141号)があります。これは、昭和56年10月に常用漢字表が告示されたことに伴い、法令における漢字使用について示すとともに、法令における送り仮名の付け方についても示すものです。内閣法制局の通知であり、内閣提出の法律案及び政令が対象となりますが、議員立法についても、これに沿って送り仮名が付けられています。

 通知では、単独の語で活用のある語については、付け方本文の通則1の本則(活用のある語は、活用語尾を送る)・例外(語幹が「し」で終わる形容詞(例:著しい)は、「し」から送るなど)及び通則2の本則(活用語尾以外の部分に他の語を含む語は、含まれている語の送り仮名の付け方によって送る。例:「動く」を含む「動かす」)によるとされています。冒頭の①では、「おこなう」の活用語尾は「う」なので、同通則1の本則により「行う」となります。同通則1では、「許容」として、「行う」については、活用語尾の前の音節から送ることができるとし、「行なう」とすることも認めているのですが、通知では、この許容によることとはされておらず、法令では「行なう」とはしません。なお、昭和40年代までに制定された法律では「行なう」という表記をしているものもありますが、既存の法律の改正の際も通知の定めるところによるとされているため、同じ法律の中で「行なう」と「行う」が混在していることもあります。

 単独の語で活用のない語については、通知では、付け方本文の通則3から5までの本則・例外の送り仮名の付け方によることとされ、名詞については、活用のある語から転じたもの(例:動き)等を除き、原則として送り仮名を付けず、副詞・連体詞・接続詞については、原則として最後の音節を送る(例:必ず)こととなります。

 複合の語については、通知では、原則として付け方の本文の通則6の本則(複合の語を書き表す漢字の、それぞれの音訓を用いた単独の語の送り仮名の付け方による。例:書き抜く、石橋)によるとされています。ただし、活用のない語で読み間違えるおそれのない語については、送り仮名を省くとされ、その例(「取扱い」など)が示されています。また、活用のない語で慣用が固定していると認められる語については送り方の本文の通則7(複合の語のうち、慣用に従って送り仮名を付けない名詞)により、送り仮名を付けないとされ、その例(「取扱注意」など。「注意」を他の漢字で置き換えた場合も同様)が示されています。つまり、冒頭の②では、単独のときと、漢字に続く場合で慣用が固定していると認められるときでは送り仮名が異なり、「取扱い」には注意が必要です(「取扱注意」)。

(滝川雄一/「立法と調査」NO.251・2005年11月)


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