法制執務コラム

変わる女性の資格

 第153回国会において、保健婦助産婦看護婦法の一部改正法が議員提出され、成立しました。

 男女共同参画の観点から、同一内容の資格については男女同一の名称とすべきとして、「保健婦・保健士」「看護婦・看護士」「准看護婦・准看護士」をそれぞれ「保健師」「看護師」「准看護師」に改称し、併せて「助産婦」を「助産師」とする改正を行ったものです。

 この名称変更に伴って、従来男女で異なっていた資格の規定方法も変わりました。これらの資格はもともと女性の資格とされてきたために、男性については法律上特殊な定め方がされていたのです。

 すなわち、法律上、看護婦については「―を業とする女子をいう」と規定し、原則として女性が業とする資格として定める一方、男性が看護士として業を行う場合については法律の附則で例外的に規定されるにすぎなかったのです。

 保健婦についても、平成5年に男性も「保健士」として業を行うことが認められましたが、これも附則で「保健士の名称を用いて保健指導に従事することを業とする男子については、この法律中保健婦に関する規定を準用する」と定められています。

 他に男女で規定を書き分けている資格としては歯科衛生士があります。

 このように男性については附則で例外的に定めが置かれるにすぎなかった看護師、准看護師及び保健師について、今回の改正によってこの附則が削除され、男女一本化して「―を業とする者をいう」と定められることとなりました。

 同様の改正が行われた資格として保育士があります。昭和52年に男性に資格が開放された際には附則で例外的に定めが置かれるにとどまっていたものが、平成10年の児童福祉法施行令の改正における「保母」から「保育士」への改称に伴って附則が削除され、男女で規定が一本化されたのです。

 このように法律上原則女性と定められてきたものが、名実ともに男女共通の資格として規定されるようになってきています。

 もちろん、依然として、女性だけに限定される資格もあります。今回名称変更の対象となった助産婦です。助産婦は、出産という女性特有の事柄にかかわる資格であることから、男性への開放に対しては議論の多いところとなっているようです。

 ところで、今回の改正では、いずれも「―師」と名称が変更されましたが、資格の名称について「士」と「師」を区別する基準があるのでしょうか。

 これについては付け方の基準として明確なものはなく、従来の名称との均衡を考慮して付けられているようですが、一般的に「師」は医療関係、衛生関係など厚生労働省所管のものに多く見られます。今回改正された資格は、いずれも医療・衛生にかかわるものですし、看護士や保健士が男性に対して使われてきたという経緯から、「師」が用いられたものと思われます。

 いずれにせよ、資格の名称には、人それぞれの思い入れがあり、今回の改正のように、長年定着していた資格の名称を変え、それによって資格の性格も変わる場合には、資格保有者や国民の賛同が得られるものとする必要があります。

 今回の改正や過去に行われた看護士や保健士導入の法改正が主に議員立法で行われたということは、名称一つをとっても、資格に対する考え方が様々であることを表しているといえるでしょう。

(宇田川令子/「立法と調査」NO.228・2002年3月)


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