法制執務コラム

法律番号

 法律には、公布の際に、暦年ごとの番号が付けられます。これを法律番号といいます。たとえば、第147回国会で成立した公職選挙法の一部を改正する法律は、今年最初に成立した法律なので、法律番号は「平成12年法律第1号」となります。

 法律番号自体は、公布の際に付けられるものであり、法律そのものの一部ではありません。では、なぜ法律には法律番号が付けられるのかというと、それは当該法律を特定するためです。法律には、同一の題名のものが意外と多いのです。「租税特別措置法の一部を改正する法律」という題名の法律は、租税特別措置法が昭和32年に現在の形になってから平成12年2月1日現在までの間に、何と47件も成立しています。しかも、昭和59年の第101回国会では、一国会で同名の法律が3件も成立しています。これらの法律を他の法令で引用する場合、題名だけでは他の法律と混同するおそれがあります。ですから、引用する法律の題名の下にかっこ書で(平成12年法律第1号)というように法律番号を付けるのです。

 租税特別措置法は、今見たようにその一部を改正する法律等によって何回も改正されていますが、法律の一部を改正してもその法律の同一性は保たれると解されていますので、法律番号は従来のものがそのまま用いられます。しかし、法律を全部改正する場合は、実質的に従来の法律を廃止して新たに法律を制定するのと同じですから、仮に題名は従来と同じものが用いられたとしても、法律番号は新たに全部改正をする法律のものが使われることになります。実は、今まで見てきた租税特別措置法の法律番号も、昭和32年に全部改正された時のものです。

 また、法律案中、引用すべき法律が未公布であれば法律番号を引用することはできないので、(平成12年法律第  号)というように法律番号は空白のままにします。当該法律案が成立して公布された後にその中で引用された未公布の法律が公布された場合、空白となっていた法律番号を補充し、官報の正誤欄にその旨を掲載することとなっています。これについては、引用される法律番号もその法律の一部であるから、それを補完する場合も法律改正によらなくてはいけないのではないか、という疑問が生ずるかもしれません。しかし、この場合、立法者の意思として引用する法律は明らかですし、空白の部分には引用する法律の法律番号が入ることも明白です。また、このような処理をすることは慣行として確立しています。

 ちなみに、法律案で未公布の法律を引用し、そのまま翌年になった場合、法律番号の年次の部分を改める必要が生じてきますが、過去には修正した例と正誤で処理した例とがあります。

 なお、連合国占領軍等の行為等による被害者等に対する給付金の支給に関する法律の一部を改正する法律(昭和42年法律第2号)では、第3条の改正規定で法律番号を空白にしたまま自らを引用していますが、同法は昭和41年に成立したものの公布が翌42年になり、法律番号の空白の補充とともに年次の部分を改める必要が生じました。しかし、執行上支障がなかったためか結局改正後の法律の第3条中にある法律番号は、年次が改められることも空白が補充されることもなく現在に至っていますが、これは珍しい例といえるでしょう。

(鈴木達也/「立法と調査」NO.217・2000年5月)


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