法制執務コラム

条・項・号・号の細分

 法律と言えば「第一条...、第2条...」と書いであるものをイメージするのが普通でしょうし、また、この「条」が「項」に区分されたり、条や項の中には「号」が置かれたりするというのも常識のうちかもしれませんが、今回は、このような、法律の条文の基本的なスタイルについて、改めてお話してみたいと思います。

 もし、法律の文章が延々と切れ目なく書いてあったらどうでしょうか。そのような法律は、内容を理解するにしても、また、ある内容がどこに書いてあるかを探すにしても、大変に不都合なものになってしまいます。つまり、法律は、まず、箇条書きにすることが必要とされるわけで、その箇条書きの一項目が「条」ということになります。そして、一つの条を規定の内容に従って更に区分する必要がある場合に、行を改めて書き始められた段落のことを、「項」と呼んでいるわけです。法律は、本則と附則とに分かれていますが、本則は、条に区分するのが普通ですし、附則も、規定する事項が多ければ条に区分します。また、規定する事項がそれほど多くない附則は、項に分けた形で規定します。本則も、極めて簡単な場合には項だけで規定することがあります。

 こうした条や項の使い方や書き方には、古い法律と最近の法律とで若干違いがあります。例えば、最近の法律では、附則は本則と区別して第一条から書き始めますが、古い法律では、附則も本則からの通し番号の条名になっていますし、昭和23、4年ごろから昭和30年ごろまでの間は、項数がどんなに多くなっても附則は原則として項で区分するという方式がとられていたそうです。また昔の文語体・片仮名書きの法律では、行を変えるだけで項を区切っていましたが、口語体・平仮名書きになってからは、行の初めの字を一字下げて項をはっきりさせることになり、さらに、昭和23年ごろからは、第2項以下の項には「2、3...」と算用数字で「項番号」と呼ばれる番号を付けて、第何項かがすぐに分かるようにされています。なお、法令集では、項番号のない古い法律の第2項以下の項に「(2)、(3)...」〔※編集注〕の形で番号を付けたり、あるいはこうした古い法律を含めてすべての法律の項に第一項から「(1)、(2)、(3)...」〔※編集注〕の形で番号を付けたりというように、便宜的に本来の形とは違う形にしていることがよくあります。

 さて、次に、「号」というのは何だということですが、これは、条又は項の中でいくつかの事項を列記する必要がある場合に「一、二、三...」と漢数字の番号を付けて列記したものということになります。号の中で更に細かくいくつかの列記事項を設ける必要がある場合には、「イ、口、ハ...」を用いることになっています。これを更に細分して列記するときには、過去の立法例では「(一)、(二)、(三) ...」を用いたこともありますが、現在では、「(1)、(2)、(3)...」を用いることになっています。政令になると、これを更に細分して、「(i)、(ii)、(iii)...」を用いて列記した例もあります。

 号の細分に関係して、少なからずマニアックな話で恐縮ですが、国土庁設置法の中に、先般の通常国会で成立した被災者生活再建支援法の附則による改正で、「イ、口、ハ...」で列記された事項がとうとう「...エ、ヒ、モ、セ、ス」の「ス」まで到達することになってしまった条文があります。次回、この条文を改正して列記事項を追加するときにはどうするのか、筆者のように立法技術に関係する仕事に携わる者にとっては、なかなか興味深いところがあります(自分が担当することになったら頭を抱えそうですが...。)。

 ※編集注 当該個所の( )付きの数字は原文では○付きの数字です。

(奥津伸/「立法と調査」NO.207・1998年9月)


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