法制執務コラム

4月1日生まれの子どもは早生まれ?

 平成3年4月1日生まれの子どもが小学校に入学するのは、平成9年の4月でしょうか、それとも平成10年の4月でしょうか。

 学校教育法には、「保護者(...略...)は、子女の満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初から」小学校等に就学させる義務を負うという規定(第22条第1項)があります。小学校の学年は4月1日に始まりますから、そうすると、満6歳になる日が4月1日であれば、その「翌日以後における最初の学年の初」は翌年の4月1日ということになり、その子どもは翌年の4月1日に小学校に入学することになります。これに対し、満6歳になる日が3月31日であれば、その翌日の4月1日に小学校に入学することになり、「早生まれ」ということになります。

 それでは、子どもが満6歳になるのはいつでしょうか。生まれた日と同じ月の同じ日に誕生日を祝う日常生活の感覚からは、平成3年の4月1日に生まれた子どもは、平成9年の4月1日に満6歳になるようにも思われます。しかし、年齢計算ニ関スル法律という法律があって、その第1項には「年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス」と規定されています。つまり、生まれた時刻が何時かを問わず、その生まれた日を第1日目として年齢を計算することになっているのです。そうすると、平成3年4月1日生まれの子どもは、平成9年3月31日限りをもって満6歳になり、翌日の4月1日から小学校に入学するため、「早生まれ」ということになります。

 年齢計算ニ関スル法律第1項のように期間を計算する場合にその初日を含めることを初日算入といいますが、年齢以外の期間を計算する場合は初日を算入しないのが原則です。期間の計算は、原則として民法の規定(第138条~第143条)によることになっており、それによると、時をもって期間を定めた場合はその時から起算しますが、日、週、月又は年をもって期間を定めた場合は、初日を算入しません。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、初日を算入します。また、期間が満了するのは、その期間の最後の日が終了した時点です。なお、週、月又は年をもって期間を定めた場合は、暦に従って計算し、その最後の週、月又は年の起算日に応当する日の前日限りで満了します。例えば、4月1日から起算する場合の「1年間」は、閏年でも翌年の4月1日の前日の3月31日に満了します。その場合、例えば1月31日から起算する場合の「1月間」のように最後の月に応当日がないときは、その月の末日、すなわち2月28日に満了します。このほか、期間の最後の日が日曜、祝日その他の休日でその日に取引を行わない慣習がある場合は、その翌日に満了します。

 ところで、初日不算入の原則は、国会に関しては適用されません。国会法には、「この法律及び各議院の規則による期間の計算は、当日から起算する」と規定されており(第133条)、例えば、国会の会期は、召集日を含めて日数を計算します。また、憲法の国会に関する規定についても、同様に期間を計算することが先例となっており、例えば、衆議院が可決した予算を参議院が受領した後休会中の期間を除き30日以内に議決しないときは、衆議院の議決が国会の議決となりますが(第60条第2項)、これは予算を受領した日を含めて計算します。

(加藤敏博/「立法と調査」NO.197・1997年1月)


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