参議院法制局

第145回国会参法第22号


ダイオキシン類対策特別措置法案要綱

第一 目的

 この法律は、ダイオキシン類が人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある物質であることにかんがみ、ダイオキシン類による環境の汚染の防止及びその除去等をするため、ダイオキシン類に関する施策の基本とすべき基準を定めるとともに、必要な規制、汚染土壌に係る措置等を定めることにより、国民の健康の保護を図ることを目的とするものとすること。 (第一条関係)

第二 定義

1 この法律において「ダイオキシン類」とは、次に掲げるものをいうものとすること。

1 ポリ塩化ジベンゾフラン

2 ポリ塩化ジベンゾ―パラ―ジオキシン

3 コプラナーポリ塩化ビフェニル

2 この法律において「特定施設」とは、工場又は事業場に設置される施設のうち、製鋼の用に供する電気炉、廃棄物焼却炉その他の施設であって、ダイオキシン類を発生し及び大気中に排出し、又はこれを含む汚水若しくは廃液を排出する施設で政令で定めるものをいうものとすること。

3 この法律において「排出ガス」とは、特定施設から大気中に排出される排出物をいうものとすること。

4 この法律において「排出水」とは、特定施設を設置する工場又は事業場(以下「特定事業場」という。)から公共用水域(水質汚濁防止法第二条第一項に規定する公共用水域をいう。以下同じ。)に排出される水をいうものとすること。 (第二条関係)

第三 責務

一 国及び地方公共団体の責務

1 国は、ダイオキシン類による環境の汚染の防止及びその除去等に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施するものとすること。

2 地方公共団体は、当該地域の自然的社会的条件に応じたダイオキシン類による環境の汚染の防止又はその除去等に関する施策を実施するものとすること。 (第三条関係)

二 事業者の責務

 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って発生するダイオキシン類による環境の汚染の防止又はその除去等をするために必要な措置を講ずるとともに、国又は地方公共団体が実施するダイオキシン類による環境の汚染の防止又はその除去等に関する施策に協力しなければならないものとすること。(第四条関係)

三 国民の責務

 国民は、その日常生活に伴って発生するダイオキシン類による環境の汚染を防止するように努めるとともに、国又は地方公共団体が実施するダイオキシン類による環境の汚染の防止又はその除去等に関する施策に協力するように努めるものとすること。 (第五条関係)

第四 ダイオキシン類に関する施策の基本とすべき基準

一 耐容一日摂取量

1 ダイオキシン類が人の活動に伴って発生する化学物質であって本来環境中には存在しないものであることにかんがみ、国及び地方公共団体が講ずるダイオキシン類に関する施策の指標とすべき耐容一日摂取量(ダイオキシン類を人が生涯にわたって継続的に摂取したとしても健康に影響を及ぼすおそれがない一日当たりの摂取量で二・三・七・八―四塩化ジベンゾ―パラ―ジオキシンの量として表したものをいう。)は、人の体重一キログラム当たり四ピコグラム以下で政令で定める値とするものとすること。

2 1の値については、化学物質の安全性の評価に関する国際的動向に十分配慮しつつ科学的知見に基づいて必要な改定を行うものとすること。 (第六条関係)

二 環境基準

 政府は、ダイオキシン類による大気の汚染、水質の汚濁(水底の底質の汚染を含む。)及び土壌の汚染に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとすること。 (第七条関係)

第五 ダイオキシン類に係る排出ガス及び排出水に関する規制

一 排出基準

1 ダイオキシン類の排出基準は、特定施設に係る排出ガス又は排出水に含まれるダイオキシン類の排出の削減に係る技術水準を勘案し、特定施設の種類及び構造に応じて、総理府令で定めるものとすること。

2 1の排出基準は、排出ガスに係るもの(以下「大気排出基準」という。)にあっては1、排出水に係るもの(以下「水質排出基準」という。)にあっては2に掲げる許容限度とするものとすること。

1 排出ガスに含まれるダイオキシン類の量(総理府令で定める方法により測定されるダイオキシン類の量を二・三・七・八―四塩化ジベンゾ―パラ―ジオキシンの毒性に総理府令で定めるところにより換算した量をいう。以下同じ。)について定める許容限度

2 排出水に含まれるダイオキシン類の量について定める許容限度

3 都道府県は、当該都道府県の区域のうちに、その自然的社会的条件から判断して、1の排出基準によっては、人の健康を保護することが十分でないと認められる区域があるときは、その区域における特定施設から排出される排出ガス又はその区域に排出される排出水に含まれるダイオキシン類の量について、政令で定めるところにより、条例で、1の排出基準に代えて適用すべき1の排出基準で定める許容限度より厳しい許容限度を定める排出基準を定めることができるものとすること。

4 都道府県が、3の規定により排出基準を定める場合には、当該都道府県知事は、あらかじめ、環境庁長官及び関係都道府県知事(3の排出基準のうち、排出水に係るものを定める場合に限る。)に通知しなければならないものとすること。

5 環境庁長官は、ダイオキシン類による大気の汚染又は公共用水域の水質の汚濁の防止のため特に必要があると認めるときは、都道府県に対し、3の規定により排出基準を定め、又は3の規定により定められた排出基準を変更すべきことを勧告することができるものとすること。

(第八条第一項から第三項まで及び第五項並びに第九条関係)

二 総量規制基準及び総量削減計画

1 都道府県知事は、大気排出基準(一の3の規定により定められる排出基準のうち、排出ガスに係るものを含む。以下同じ。)が適用される特定施設(以下「大気基準適用施設」という。)が集合している地域で、大気排出基準のみによっては第四の二の基準のうち大気の汚染に関する基準の確保が困難であると認められる地域として政令で定める地域(以下「指定地域」という。)にあっては、当該指定地域に設置されている特定事業場で大気基準適用施設を設置しているもの(以下「総量規制基準適用事業場」という。)から大気中に排出されるダイオキシン類について、総量削減計画を作成し、これに基づき、総理府令で定めるところにより、総量規制基準を定めなければならないものとすること。

2 都道府県知事は、新たに大気基準適用施設が設置された総量規制基準適用事業場(工場又は事業場で、特定施設の設置又は構造等の変更により新たに総量規制基準適用事業場となったものを含む。)及び新たに設置された総量規制基準適用事業場について、1の総量削減計画に基づき、総理府令で定めるところにより、1の総量規制基準に代えて適用すべき特別の総量規制基準を定めることができるものとすること。

3 1又は2の総量規制基準は、総量規制基準適用事業場につき当該総量規制基準適用事業場に設置されているすべての大気基準適用施設の排出口から排出されるダイオキシン類の量の合計量について定める許容限度とするものとすること。

4 都道府県知事は、1の政令で定める地域の要件に該当すると認められる一定の地域があるときは、1の政令の立案について、内閣総理大臣に対し、その旨の申出をすることができるものとすること。

5 住民は、その住所地を管轄する都道府県知事に対し、4の申出をするよう申し出ることができるものとすること。

6 内閣総理大臣は、1の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、関係都道府県知事の意見を聴かなければならないものとすること。

7 都道府県知事は、1又は2の総量規制基準を定めるときは、公示しなければならないものとすること。

8 1の総量削減計画は、当該指定地域について、1に掲げる総量を2に掲げる総量までに削減させることを目途として、大気基準適用施設の種類及び規模等を勘案し、政令で定めるところにより、3及びCに掲げる事項を定めるものとすること。

1 当該指定地域におけるすべての大気基準適用施設から大気中に排出されるダイオキシン類の量の総量

2 第四の二の基準のうち大気の汚染に関する基準に照らし総理府令で定めるところにより算定される当該指定地域における大気基準適用施設から大気中に排出されるダイオキシン類の量の総量

3 1の総量についての削減目標量(中間目標としての削減目標量を定める場合にあっては、その削減目標量を含む。)

4 計画の達成の期間及び方途

9 都道府県知事は、1の総量削減計画を定めようとするときは、環境基本法第四十三条の規定により置かれる審議会その他の合議制の機関及び関係市町村長の意見を聴くとともに、公聴会を開き、指定地域の住民の意見を聴かなければならないものとすること。

10 都道府県知事は、1の総量削減計画を定めようとするときは、あらかじめ、環境庁長官に協議し、その同意を得なければならないものとすること。

11 都道府県知事は、1の総量削減計画を定めたときは、8の1からCまでに掲げる事項を公告しなければならないものとすること。 (第十条及び第十一条第一項から第四項まで関係)

三 特定施設の設置の届出等

1 特定施設を設置しようとする者は、総理府令で定めるところにより、一定の事項を都道府県知事に届け出なければならないものとすること。

2 一の施設が特定施設となった際現にその施設を設置している者等についての1の規定に関する経過措置を定めるものとすること。 (第十二条第一項並びに第十三条第一項及び第二項関係)

四 計画変更命令等

1 都道府県知事は、三の1の規定等による届出があった場合において、その届出に係る特定施設に係る排出ガスにあっては当該特定施設の排出口、排出水にあっては当該特定施設が設置されている水質基準適用事業場の排水口において、その排出ガス又は排出水に含まれるダイオキシン類の量が一の1の排出基準(一の3の規定により排出基準が定められた場合にあっては、その排出基準を含む。以下単に「排出基準」という。)に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から六十日以内において、その届出をした者に対し、当該特定施設の構造若しくは使用の方法若しくは当該特定施設に係る発生ガス若しくは汚水若しくは廃液の処理の方法に関する計画の変更又は三の1の規定による届出に係る特定施設の設置に関する計画の廃止を命ずることができるものとすること。

2 都道府県知事は、三の1の規定等による届出があった場合において、その届出に係る大気基準適用施設が設置される総量規制基準適用事業場(工場又は事業場で、特定施設の設置又は構造等の変更により新たに総量規制基準適用事業場となるものを含む。2において同じ。)について、当該総量規制基準適用事業場に設置されるすべての大気基準適用施設の排出口から排出されるダイオキシン類の量の合計量が総量規制基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から六十日以内において、当該総量規制基準適用事業場の設置者に対し、当該総量規制基準適用事業場における発生ガスの処理の方法の改善その他必要な措置をとるべきことを命ずることができるものとすること。(第十五条及び第十六条関係)

五 排出の制限

1 排出ガスを排出し、又は排出水を排出する者(以下「排出者」という。)は、当該排出ガス又は排出水に含まれるダイオキシン類の量が、大気基準適用施設にあっては排出ガスの排出口、水質基準対象施設にあっては当該水質基準対象施設を設置している水質基準適用事業場の排水口において、排出基準に適合しない排出ガス又は排出水を排出してはならないものとすること。

2 1の規定は、一の施設が特定施設となった際現にその施設を設置している者の当該施設から排出される排出ガス又は当該施設に係る排出水については、当該施設が特定施設となった日から一年間は、適用しないものとすること。

3 総量規制基準適用事業場において大気中に排出ガスを排出する者は、当該総量規制基準適用事業場に設置されているすべての大気基準適用施設の排出口から排出されるダイオキシン類の量の合計量が総量規制基準に適合しない排出ガスを排出してはならないものとすること。

4 3の規定は、第二の2の政令の改正、一の1の総理府令の改正又は二の1の政令の改正により新たに総量規制基準適用事業場となった工場又は事業場に設置されている大気基準適用施設から大気中に排出ガスを排出する者については、当該工場又は事業場が総量規制基準適用事業場となった日から一年間は、適用しないものとすること。 (第二十条第一項及び第二項並びに第二十一条関係)

六 改善命令等

1 都道府県知事は、排出者が、その設置している大気基準適用施設の排出口又は水質基準適用事業場の排水口において排出基準に適合しない排出ガス又は排出水を継続して排出するおそれがあると認めるときは、その者に対し、期限を定めて特定施設の構造若しくは使用の方法若しくは当該特定施設に係る発生ガス若しくは汚水若しくは廃液の処理の方法の改善を命じ、又は当該特定施設の使用の一時停止を命ずることができるものとすること。

2 1の規定は、一の施設が特定施設となった際現にその施設を設置している者については、当該施設が特定施設となった日から一年間は、適用しないものとすること。

3 都道府県知事は、総量規制基準に適合しない排出ガスが継続して排出されるおそれがあると認めるときは、当該排出ガスに係る総量規制基準適用事業場の設置者に対し、期限を定めて、当該総量規制基準適用事業場における発生ガスの処理の方法の改善その他必要な措置をとるべきことを命ずることができるものとすること。

4 3の規定は、第二の2の政令の改正、一の1の総理府令の改正又は二の1の政令の改正により新たに総量規制基準適用事業場となった工場又は事業場については、当該工場又は事業場が総量規制基準適用事業場となった日から一年間は、適用しないものとすること。 (第二十二条関係)

七 事故時の措置

1 特定施設を設置している者は、特定施設の故障、破損その他の事故が発生し、ダイオキシン類が大気中又は公共用水域に多量に排出されたときは、直ちに、その事故について応急の措置を講じ、かつ、その事故を速やかに復旧するように努めなければならないものとすること。

2 1の場合には、1に規定する者は、直ちに、その事故の状況を都道府県知事に通報しなければならないものとすること。

3 都道府県知事は、1に規定する事故が発生した場合において、当該事故に係る特定事業場の周辺の区域における人の健康が損なわれ、又は損なわれるおそれがあると認めるときは、その事故に係る1に規定する者に対し、その事故の拡大又は再発の防止のため必要な措置をとるべきことを命ずることができるものとすること。

4 都道府県知事は、2の規定による通報を受け、又は3の規定による命令をしたときは、速やかに、その旨を環境庁長官に報告しなければならないものとすること。 (第二十三条関係)

第六 廃棄物焼却炉に係るばいじん等の処理等

一 廃棄物焼却炉に係るばいじん等の処理

1 廃棄物焼却炉である特定施設から排出される当該特定施設の集じん機によって集められたばいじん及び焼却灰その他の燃え殻の処分(再生することを含む。)を行う場合には、当該ばいじん及び焼却灰その他の燃え殻に含まれるダイオキシン類の量が厚生省令で定める基準以内となるように処理しなければならないものとすること。

2 廃棄物焼却炉である特定施設から排出される当該特定施設の集じん機によって集められたばいじん及び焼却灰その他の燃え殻については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第二条第三項に規定する特別管理一般廃棄物又は同条第五項に規定する特別管理産業廃棄物として当該規定の政令において定めることとし、1の規定を同法第六条の二第三項に規定する特別管理一般廃棄物処理基準又は同法第十二条の二第一項に規定する特別管理産業廃棄物処理基準に含まれるものとして、同法の規定を適用するものとすること。 (第二十四条関係)

二 廃棄物の最終処分場の維持管理

1 廃棄物の最終処分場については、ダイオキシン類により大気、公共用水域及び地下水並びに土壌が汚染されることがないように、総理府令、厚生省令で定める基準に従い、最終処分場の維持管理をしなければならないものとすること。

2 廃棄物の最終処分場については、1の総理府令、厚生省令は廃棄物の処理及び清掃に関する法律第八条の三、第九条第五項及び第十五条の二の二の総理府令、厚生省令に含まれるものとして、同法の規定を適用するものとすること。 (第二十五条関係)

第七 ダイオキシン類による汚染の状況に関する調査等

一 常時監視

1 都道府県知事は、当該都道府県の区域に係る大気、水質(水底の底質を含む。以下同じ。)及び土壌のダイオキシン類による汚染の状況を常時監視しなければならないものとすること。

2 都道府県知事は、1の常時監視の結果を環境庁長官に報告しなければならないものとすること。(第二十六条関係)

二 都道府県知事等による調査測定

1 都道府県知事は、国の地方行政機関の長及び地方公共団体の長と協議して、当該都道府県の区域に係る大気、水質及び土壌のダイオキシン類による汚染の状況についての調査測定をするものとすること。

2 国及び地方公共団体は、1の協議の結果に基づき調査測定を行い、その結果を都道府県知事に送付するものとすること。

3 都道府県知事は、1の調査測定の結果及び2の規定により送付を受けた調査測定の結果を公表するものとすること。

4 国の行政機関の長又は都道府県知事は、土壌のダイオキシン類による汚染の状況を調査測定するため、必要があるときは、その必要の限度において、その職員に、土地に立ち入り、土壌その他の物につき調査測定させ、又は調査測定のため必要な最少量に限り土壌その他の物を無償で集取させることができるものとすること。 (第二十七条第一項から第四項まで関係)

三 設置者による測定

1 大気基準適用施設又は水質基準適用事業場の設置者は、毎年一回以上で政令で定める回数、政令で定めるところにより、大気基準適用施設にあっては当該大気基準適用施設から排出される排出ガス、水質基準適用事業場にあっては当該水質基準適用事業場から排出される排出水につき、そのダイオキシン類による汚染の状況について測定を行わなければならないものとすること。

2 廃棄物焼却炉である特定施設に係る1の測定を行う場合においては、併せて、その排出する集じん機によって集められたばいじん及び焼却灰その他の燃え殻につき、政令で定めるところにより、そのダイオキシン類による汚染の状況について、測定を行わなければならないものとすること。

3 大気基準適用施設又は水質基準適用事業場の設置者は、1又は2の規定により測定を行ったときは、その結果を都道府県知事に報告しなければならないものとすること。

4 都道府県知事は、3の規定による報告を受けたときは、その報告を受けた1及び2の測定の結果を公表するものとすること。 (第二十八条関係)

第八 ダイオキシン類により汚染された土壌に係る措置

一 対策地域の指定

1 都道府県知事は、当該都道府県の区域内においてダイオキシン類による土壌の汚染の状況が第四の二の基準のうち土壌の汚染に関する基準を満たさない地域であって、当該地域内の土壌のダイオキシン類による汚染の除去等をする必要があるものとして政令で定める要件に該当するものをダイオキシン類土壌汚染対策地域(以下「対策地域」という。)として指定することができるものとすること。

2 内閣総理大臣は、1の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、中央環境審議会の意見を聴かなければならないものとすること。

3 都道府県知事は、対策地域を指定しようとするときは、環境基本法第四十三条の規定により置かれる審議会その他の合議制の機関及び関係市町村長の意見を聴かなければならないものとすること。

4 都道府県知事は、対策地域を指定したときは、遅滞なく、総理府令で定めるところにより、その旨を公告するとともに、環境庁長官に報告し、かつ、関係市町村長に通知しなければならないものとすること。

5 市町村長は、当該市町村の区域内の一定の地域で1の政令で定める要件に該当するものを、対策地域として指定すべきことを都道府県知事に対し要請することができるものとすること。(第二十九条関係)

二 ダイオキシン類土壌汚染対策計画

1 都道府県知事は、対策地域を指定したときは、遅滞なく、ダイオキシン類土壌汚染対策計画(以下「対策計画」という。)を定めなければならないものとすること。

2 対策計画においては、次に掲げる事項のうち必要なものを定めるものとすること。

1 対策地域の区域内にある土地の利用の状況に応じて、政令で定めるところにより、次に掲げる事項のうち必要なものに関する事項

イ ダイオキシン類による土壌の汚染の除去に関する事業の実施に関する事項

ロ その他ダイオキシン類により汚染されている土壌に係る土地の利用等により人の健康に係る被害が生ずることを防止するため必要な事業の実施その他必要な措置に関する事項

2 ダイオキシン類による土壌の汚染を防止するための事業の実施に関する事項

3 都道府県知事は、対策計画を定めようとするときは、関係市町村長の意見を聴くとともに、公聴会を開き、対策地域の住民の意見を聴かなければならないものとすること。

4 都道府県知事は、対策計画を定めようとするときは、内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならないものとすること。

5 内閣総理大臣は、4の同意をしようとするときは、関係行政機関の長と協議しなければならないものとすること。

6 都道府県知事は、対策計画を定めたときは、遅滞なく、その概要を公告するとともに、関係市町村長に通知しなければならないものとすること。

7 対策計画に基づく事業については、公害防止事業費事業者負担法の規定は、事業者によるダイオキシン類の排出とダイオキシン類による土壌の汚染との因果関係が科学的知見に基づいて明確な場合に、適用するものとすること。 (第三十一条関係)

第九 ダイオキシン類の排出の削減のための国の計画

1 内閣総理大臣は、我が国における事業活動に伴い排出されるダイオキシン類の量を削減するための計画を作成するものとすること。

2 1の計画においては、次の事項を定めるものとすること。

1 我が国におけるダイオキシン類の事業分野別の推計排出量に関する削減目標量

2 1の削減目標量を達成するため事業者が講ずべき措置に関する事項

3 資源の再生利用の推進その他のダイオキシン類の発生の原因となる廃棄物の減量化を図るため国及び地方公共団体が講ずべき施策に関する事項

4 その他我が国における事業活動に伴い排出されるダイオキシン類の削減に関し必要な事項

3 内閣総理大臣は、1の計画を定めようとするときは、公害対策会議の議を経なければならないものとすること。 (第三十三条第一項から第三項まで関係)

第十 雑則

一 報告及び検査

1 環境庁長官又は都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、特定施設を設置している者に対し、特定施設の状況その他必要な事項の報告を求め、又はその職員に、特定事業場に立ち入り、特定施設その他の物件を検査させることができるものとすること。

2 1の規定による環境庁長官による報告の徴収又はその職員による立入検査は、大気、水質又は土壌のダイオキシン類による汚染により人の健康に係る被害が生ずることを防止するため緊急の必要があると認められる場合に行うものとすること。 (第三十四条第一項及び第二項関係)

二 適用除外

1 鉱山保安法、電気事業法、ガス事業法又は海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律が適用される一定の施設又は事業場について、第五の三、第五の六等の規定を適用しないこととする等の規定を設けるものとすること。

2 1により第五の三等の規定を適用しないこととされた特定施設に係る1に規定する法律に基づく権限を有する国の行政機関の長(以下単に「行政機関の長」という。)による都道府県知事に対する第五の三等の規定の届出事項の通知及び第五の七等の規定を適用しないこととされた特定施設に係る都道府県知事による行政機関の長に対する人の健康に係る被害を生ずるおそれがあると認めるときの措置の要請に関する規定を設けるものとすること。 (第三十五条第一項から第三項まで関係)

三 資料の提出の要求等

1 環境庁長官は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係地方公共団体の長に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができるものとすること。

2 都道府県知事は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対し、特定施設の状況等に関する資料の送付その他の協力を求め、又はダイオキシン類による環境の汚染の防止若しくはその除去等に関し意見を述べることができるものとすること。

(第三十六条関係)

四 環境庁長官の指示

 環境庁長官は、大気、水質又は土壌のダイオキシン類による汚染により人の健康に係る被害が生ずることを防止するため緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事又は九の政令で定める市(特別区を含む。)の長に対し、一定の事務に関して必要な指示をすることができるものとすること。(第三十七条関係)

五 国の援助

 国は、工場又は事業場における事業活動等によるダイオキシン類による環境の汚染の防止又はその除去等のための施設の設置又は改善につき必要な資金のあっせん、技術的な助言その他の援助に努めるものとすること。 (第三十八条関係)

六 研究の推進等

 国は、ダイオキシン類の処理に関する技術の研究、ダイオキシン類の人の健康に及ぼす影響の研究その他ダイオキシン類による環境の汚染の防止及びその除去等に関する研究を推進し、その成果の普及に努めるものとすること。 (第三十九条関係)

七 経過措置

 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができるものとすること。 (第四十条関係)

八 政令で定める市の長による事務の処理

 この法律の規定により都道府県知事の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、政令で定める市(特別区を含む。)の長が行うこととすることができるものとすること。 (第四十一条関係)

九 事務の区分

 この法律の規定により都道府県が処理することとされている事務のうち、第五の二の1の規定により処理することとされているもの(総量削減計画の作成に係るものを除く。)等及び第七の一の規定により処理することとされているものは、地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とするものとすること。 (第四十二条関係)

十 条例との関係

 この法律の規定は、地方公共団体が、大気基準適用施設以外の施設から大気中に排出される排出物又は水質基準適用事業場以外の工場若しくは事業場から排出される水に含まれるダイオキシン類の排出に係る事項に関し、条例で必要な規制を定めることを妨げるものではないものとすること。 (第四十三条関係)

第十一 罰則

一 改善命令違反等に対する罰則

 第五の四又は六の1若しくは3の規定による命令に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するものとすること。 (第四十四条関係)

二 排出制限違反等に対する罰則

1 次のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処するものとすること。

1 第五の五の1又は3の規定に違反した者

2 第五の七の3の規定による命令に違反した者

2 過失により、1の1の罪を犯した者は、三月以下の禁 又は三十万円以下の罰金に処するものとすること。

3 1の1及び2の違反行為については、当該違反行為が行われた日から三月以内に都道府県知事が当該違反行為に係る施設に関しその職員に第十の一の1の規定による立入検査をさせ、当該立入検査において総理府令で定める方法により測定した結果が排出基準又は総量規制基準に適合しない場合に限り、当該違反行為をした者を罰するものとすること。 (第四十五条関係)

三 その他の罰則に関する規定

 その他所要の罰則に関する規定を設けるものとすること。 (第四十六条から第四十九条まで関係)

第十二 施行期日

 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。ただし、次の1及び2に掲げる規定は、当該1又は2に定める日から施行するものとすること。

1 第十の一の2、四及び九等の規定 平成十二年四月一日

2 第十五のうち、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律の改正規定のうち一定のもの 公布の日から起算して二年を経過した日 (附則第一条関係)

第十三 検討

一 政府は、臭素系ダイオキシンにつき、人の健康に対する影響の程度、その発生過程等に関する調査研究を推進し、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとすること。 (附則第二条第一項関係)

二 ダイオキシン類に係る規制の在り方については、この法律の目的を踏まえつつ、その時点において到達されている水準の科学的知見(三において単に「科学的知見」という。)に基づき検討が加えられ、その結果に基づき、必要な見直し等の措置が講ぜられるものとすること。 (附則第二条第二項関係)

三 ダイオキシン類に係る健康被害の状況及び食品への蓄積の状況を勘案して、その対策については、科学的知見に基づき検討が加えられ、その結果に基づき、必要な措置が講ぜられるものとすること。(附則第二条第三項関係)

四 政府は、ダイオキシン類の発生過程における特性にかんがみ、小規模な廃棄物焼却炉の構造及び維持管理に関する規制並びに廃棄物焼却施設によらない廃棄物の焼却に関する規制の在り方について、検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとすること。 (附則第三条関係)

第十四 経過措置

 平成十二年三月三十一日(地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律等の施行の日の前日)までの間についての必要な経過措置を定めるものとすること。 (附則第四条関係)

第十五 他の法律の一部改正

 地方自治法、中小企業近代化資金等助成法、下水道法、公害防止事業費事業者負担法、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律、瀬戸内海環境保全特別措置法及び環境庁設置法について所要の改正を行うものとすること。(附則第五条から第十二条まで関係)

第十六 その他

 その他所要の規定の整備を行うものとすること。