参議院法制局

第145回国会参法第20号


ダイオキシン類に係る発生の未然防止、排出の規制及び汚染の除去等に関する緊急措置法案要綱

第一 目的

(第一条関係)

 この法律は、我が国のダイオキシン類による汚染の状況にかんがみ、ダイオキシン類の発生を未然に防止するための施策等を推進するための措置を定め、ダイオキシン類の排出に関する必要な規制を講じ、及びダイオキシン類による汚染の除去等その他の必要な措置を講ずることにより、ダイオキシン類による汚染に係る人の健康に係る被害の発生を防止し、もって国民の健康を保護し、並びにダイオキシン類の排出による汚染に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的とするものとすること。

第二 定義

(第二条関係)

1 この法律において「ダイオキシン類」とは、ポリ塩化ジベンゾフラン、ポリ塩化ジベンゾーパラージオキシン及びコプラナーポリ塩化ビフェニルをいうものとすること。

2 この法律において「特定施設」とは、工場又は事業場に設置される施設のうち、製鋼の用に供する電気炉、廃棄物焼却炉その他の施設であって、ダイオキシン類を発生し及び大気中に排出し、又はこれを含む汚水若しくは廃液を排出する施設で政令で定めるものをいうものとすること。

3 この法律において「排出ガス」とは、特定施設から大気中に排出される排出物をいうものとすること。

4 この法律において「排出水」とは、特定施設を設置する工場又は事業場(以下「特定事業場」という。)から公共用水域(水質汚濁防止法第二条第一項に規定する公共用水域をいう。以下同じ。)に排出される水をいうものとすること。

第三 責務

(第三条から第五条まで関係)

1 国は、ダイオキシン類の発生を未然に防止するための施策その他のダイオキシン類による環境の汚染を防止し、及びその汚染の除去等をするための施策(以下「ダイオキシン類対策」という。)を、総合的かつ計画的に策定し、及び実施するものとすること。

2 地方公共団体は、当該地域の自然的社会的条件に応じたダイオキシン類対策を実施するものとすること。

3 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、ダイオキシン類の発生を未然に防止するための措置を講ずるほか、ダイオキシン類による環境の汚染の防止又はその除去等をするために必要な措置を講ずるとともに、国又は地方公共団体が実施するダイオキシン類対策に協力しなければならないものとすること。

4 国民は、ダイオキシン類の排出が抑制されるように努めるとともに、国又は地方公共団体が実施するダイオキシン類による環境の汚染の防止又はその除去等に関する施策に協力するように努めるものとすること。

第四 ダイオキシン類対策の基本とすべき基準

一 人の健康に係る摂取量に関する基準

(第六条関係)

 ダイオキシン類対策の実施により達成されるべき一日に人が摂取するダイオキシン類の量の最大量についての基準は、体重一キログラム当たり一ピコグラムとするものとすること。

二 環境基準

(第七条関係)

 政府は、人の健康に係る被害の発生を未然に防止する観点から、一の基準を踏まえて、ダイオキシン類による大気の汚染、水質の汚濁(水底の底質の汚染を含む。以下同じ。)及び土壌の汚染に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準を定めなければならないものとすること。

第五 基本方針及びダイオキシン類の発生の未然防止等に関する計画

一 基本方針

(第八条関係)

1 政府は、ダイオキシン類対策に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとすること。

2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとすること。

1 ダイオキシン類発生回避措置(ダイオキシン類発生原因物質(ポリ塩化ビニルその他これに類する物質であって、これに係る廃棄物の焼却過程においてダイオキシン類が発生するおそれが多いものとして政令で定めるものをいう。以下同じ。)を用いた製品に係る廃棄物が焼却されることとなる量が減少するように、事業者がその製造、加工、販売、利用その他の事業活動に関して講ずる措置をいう。以下同じ。)の促進その他のダイオキシン類の発生を未然に防止するため必要な施策に関する基本的事項

2 環境に排出されるダイオキシン類の量を削減するため必要な施策に関する基本的事項(1に掲げる事項を除く。)

3 1及び2に掲げる事項に係る施策の実施により達成されるべき我が国において排出されるダイオキシン類の量の総量についての削減目標量及びその達成の期間

4 ダイオキシン類による汚染の状況に係る調査に関する基本的事項

5 ダイオキシン類による汚染の除去等に関する基本的事項

6 その他ダイオキシン類対策として必要な基本的事項

3 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないものとすること。

4 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長と協議するものとすること。

5 内閣総理大臣は、3の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、これを公表するものとすること。

二 ダイオキシン類の発生の未然防止に関する業種別計画

(第九条関係)

1 主務大臣は、基本方針に基づき、主務省令で定めるところにより、当該主務大臣の所管する事業に係るダイオキシン類の発生を未然に防止するため必要な施策に関する計画(以下「業種別計画」という。)を定めるものとすること。

2 業種別計画においては、当該主務大臣が所管する事業の分野別のダイオキシン類発生回避措置の促進その他のダイオキシン類の発生を未然に防止するため必要な施策について定めるものとすること。

3 主務大臣は、業種別計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならないものとすること。

三 ダイオキシン類の発生の未然防止等に関する都道府県計画

(第十条関係)

1 都道府県知事は、基本方針に基づき、当該都道府県の区域内におけるダイオキシン類の発生を未然に防止するため必要な施策等に関する計画(以下「都道府県計画」という。)を作成するものとすること。

2 都道府県計画においては、次に掲げる事項を定めるものとすること。

1 当該都道府県の区域内におけるダイオキシン類の発生を未然に防止するため必要な施策に関する事項

2 当該都道府県の区域内において排出されるダイオキシン類の量を削減するため必要な施策に関する事項(1に掲げる事項を除く。)

3 1及び2に掲げる事項に係る施策の実施により達成されるべき当該都道府県の区域内において排出されるダイオキシン類の量の総量についての削減目標量及びその達成の期間

3 都道府県知事は、都道府県計画を作成するときは、ダイオキシン類対策協議会の意見を聴かなければならないものとすること。

4 都道府県知事は、都道府県計画を作成したときは、これを公表するものとすること。

第六 ダイオキシン類に係る排出ガス及び排出水に関する規制

一 排出基準 (第十一条関係)

1 ダイオキシン類の排出基準は、特定施設の種類及び構造に応じて、排出ガス又は排出水のいずれか一方又はその双方について、総理府令で定めるものとすること。

2 1の排出基準は、排出ガスに係るもの(以下「大気排出基準」という。)にあっては1、排出水に係るもの(以下「水質排出基準」という。)にあっては2に掲げる許容限度とするものとすること。

1 排出ガスに含まれるダイオキシン類の量(総理府令で定める方法により測定されるダイオキシン類の量を、総理府令で定めるところにより、二・三・七・八―四塩化ジベンゾ―パラ―ジオキシンの毒性に換算した量をいう。以下同じ。)について定める許容限度

2 排出水に含まれるダイオキシン類の量について定める許容限度

3 都道府県は、当該都道府県の区域のうちに、その自然的社会的条件から判断して、1の排出基準によっては、人の健康を保護することが十分でないと認められる区域があるときは、その区域における特定施設から排出される排出ガス又はその区域に排出される排出水に含まれるダイオキシン類の量について、政令で定めるところにより、条例で、1の排出基準に代えて適用すべき1の排出基準で定める許容限度より厳しい許容限度を定める排出基準を定めることができるものとすること。

4 都道府県が、3の規定により排出基準を定める場合には、ダイオキシン類対策協議会の意見を聴かなければならないものとすること。

二 総量規制基準及び総量削減計画

(第十三条及び第十四条関係)

1 都道府県知事は、大気排出基準(第一の3の規定により定められる排出基準のうち、排出ガスに係るものを含む。以下同じ。)が適用される特定施設(以下「大気基準適用施設」という。)が集合している地域で、大気排出基準のみによっては第四の二の基準のうち大気の汚染に関する基準の確保が困難であると認められる地域として政令で定める地域(以下「指定地域」という。)にあっては、当該指定地域に設置されている特定事業場で大気基準適用施設を設置しているもの(以下「総量規制基準適用事業場」という。)から大気中に排出されるダイオキシン類について、総量削減計画を作成し、これに基づき、総理府令で定めるところにより、総量規制基準を定めなければならないものとすること。

2 都道府県知事は、新たに大気基準適用施設が設置された総量規制基準適用事業場(工場又は事業場で、大気基準適用施設の設置により新たに総量規制基準適用事業場となったものを含む。)及び新たに設置された総量規制基準適用事業場について、1の総量削減計画に基づき、総理府令で定めるところにより、1の総量規制基準に代えて適用すべき特別の総量規制基準を定めることができるものとすること。

3 1又は2の総量規制基準は、総量規制基準適用事業場につき当該総量規制基準適用事業場に設置されているすべての大気基準適用施設の排出口(大気基準適用施設から排出ガスを大気中に排出するために設けられた煙突その他の施設の開口部をいう。以下同じ。)から排出されるダイオキシン類の量の合計量について定める許容限度とするものとすること。

4 都道府県知事は、1の政令で定める地域の要件に該当すると認められる一定の地域があるときは、同項の政令の立案について、内閣総理大臣に対し、その旨の申出をすることができるものとすること。

5 都道府県知事は、2の規定により総量規制基準を定めようとするときは、ダイオキシン類対策協議会の意見を聴かなければならないものとすること。

6 1の総量削減計画は、当該指定地域について、1に掲げる総量を3に掲げる総量までに削減させることを目途として、1に掲げる総量に占める2に掲げる総量の割合、工場又は事業場の規模、総量規制基準適用事業場以外のダイオキシン類の発生源におけるダイオキシン類の大気中への排出状況の推移等を勘案し、政令で定めるところにより、4及び5に掲げる事項を定めるものとすること。

1 当該指定地域における事業活動その他の人の活動に伴って大気中に排出されるダイオキシン類の量の総量

2 当該指定地域におけるすべての総量規制基準適用事業場に設置されている大気基準適用施設において発生し、排出口から大気中に排出されるダイオキシン類の量の総量

3 当該指定地域における事業活動その他の人の活動に伴って発生し、大気中に排出されるダイオキシン類について、第四の二の基準のうち大気の汚染に関する基準に照らし総理府令で定めるところにより算定されるダイオキシン類の量の総量

4 2の総量についての削減目標量

5 計画の達成の期間及び方途

7 都道府県知事は、1の総量削減計画を定めようとするときは、ダイオキシン類対策協議会の意見を聴かなければならないものとすること。

三 特定施設の設置の届出

(第十五条関係)

 特定施設を設置しようとする者は、総理府令で定めるところにより、次の事項を都道府県知事に届け出なければならないものとすること。

1 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

2 特定事業場の名称及び所在地

3 特定施設の種類

4 特定施設の構造

5 特定施設の使用の方法

6 大気基準適用施設にあっては発生ガス(大気基準適用施設において発生するガスをいう。以下同じ。)、水質排出基準(一の3の規定により定められる排出基準のうち、排出水に係るものを含む。)に係る特定施設(以下「水質基準対象施設」という。)にあっては当該水質基準対象施設から排出される汚水又は廃液の処理の方法

四 計画変更命令等

(第十八条関係)

1 都道府県知事は、三の規定による届出があった場合において、その届出に係る特定施設に係る排出ガスにあっては当該特定施設の排出口、排出水にあっては当該特定施設が設置されている水質基準適用事業場の排水口(排出水を排出する場所をいう。以下同じ。)において、その排出ガス又は排出水に含まれるダイオキシン類の量が一の1の排出基準(一の3の規定により排出基準が定められた場合にあっては、その排出基準を含む。以下単に「排出基準」という。)に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から六十日以内に限り、その届出をした者に対し、当該特定施設の構造若しくは使用の方法若しくは当該特定施設に係る発生ガス若しくは汚水若しくは廃液の処理の方法に関する計画の変更又は三の規定による届出に係る特定施設の設置に関する計画の廃止を命ずることができるものとすること。

2 都道府県知事は、三の規定による届出があった場合において、その届出に係る大気基準適用施設が設置される総量規制基準適用事業場(工場又は事業場で、特定施設の設置又は構造等の変更により新たに総量規制基準適用事業場となるものを含む。以下同じ。)について、当該総量規制基準適用事業場に設置されるすべての大気基準適用施設の排出口から排出されるダイオキシン類の量の合計量が総量規制基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から六十日以内に限り、当該総量規制基準適用事業場の設置者に対し、当該総量規制基準適用事業場における発生ガスの処理の方法の改善その他必要な措置をとるべきことを命ずることができるものとすること。

五 排出の制限

(第二十三条及び第二十四条関係)

1 排出ガスを排出し、又は排出水を排出する者(以下「排出者」という。)は、当該排出ガス又は排出水に含まれるダイオキシン類の量が、大気基準適用施設にあっては排出ガスの排出口、水質基準対象施設にあっては当該水質基準対象施設を設置している水質基準適用事業場の排水口において、排出基準に適合しない排出ガス又は排出水を排出してはならないものとすること。

2 総量規制基準適用事業場において大気中に排出ガスを排出する者は、当該総量規制基準適用事業場に設置されているすべての大気基準適用施設の排出口から排出されるダイオキシン類の量の合計量が総量規制基準に適合しない排出ガスを排出してはならないものとすること。

3 1及び2の規定の適用に関し、一の施設が特定施設となった際現にその施設を設置している者等についての経過措置を定めるものとすること。

六 改善命令等

(第二十五条関係)

1 都道府県知事は、排出者が、その設置している大気基準適用施設の排出口又は水質基準適用事業場の排水口において排出基準に適合しない排出ガス又は排出水を継続して排出するおそれがあると認めるときは、その者に対し、期限を定めて特定施設の構造若しくは使用の方法若しくは当該特定施設に係る発生ガス若しくは汚水若しくは廃液の処理の方法の改善を命じ、又は当該特定施設の使用の一時停止を命ずることができるものとすること。

2 都道府県知事は、総量規制基準に適合しない排出ガスが継続して排出されるおそれがあると認めるときは、当該排出ガスに係る総量規制基準適用事業場の設置者に対し、期限を定めて、当該総量規制基準適用事業場における発生ガスの処理の方法の改善その他必要な措置をとるべきことを命ずることができるものとすること。

3 1及び2の規定の適用に関し、一の施設が特定施設となった際現にその施設を設置している者等についての経過措置を定めるものとすること。

第七 廃棄物焼却炉に係るばいじん等の処理等

一 廃棄物焼却炉に係るばいじん等の処理

(第二十七条関係)

 廃棄物焼却炉である特定施設から排出される当該特定施設の集じん機によって集められたばいじん及び焼却灰その他の燃え殻の処分(再生することを含む。)を行う場合には、当該ばいじん及び焼却灰その他の燃え殻に含まれるダイオキシン類の量が厚生省令で定める基準以内となるように処理しなければならないものとすること。

二 廃棄物焼却炉に係る設置の許可の特例

(第二十八条関係)

 都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長とする。)は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第八条第一項に規定する一般廃棄物処理施設又は同法第十五条第一項に規定する産業廃棄物処理施設に該当する廃棄物焼却炉については、ダイオキシン類による大気の汚染が特に著しく、かつ、第六の規定による規制によっては第四の二の基準のうち大気の汚染に関する基準の確保が困難であるものとして政令で定める地域においては、その設置に関する同法第八条第一項又は第十五条第一項の許可をすることができないものとすること。

第八 ダイオキシン類による汚染の状況に関する調査等

一 常時監視

(第二十九条関係)

 都道府県知事は、当該都道府県の区域に係る大気、水質(水底の底質を含む。以下同じ。)及び土壌のダイオキシン類による汚染の状況を常時監視しなければならないものとすること。

二 都道府県知事等による調査測定

(第三十条関係)

1 都道府県知事は、国の地方行政機関の長及び地方公共団体の長と協議して、当該都道府県の区域に係る大気、水質及び土壌のダイオキシン類による汚染の状況並びに住民の身体の汚染の状況及び健康の状況についての調査測定をするものとすること。

2 国及び地方公共団体は、1の協議の結果に基づき調査測定を行い、その結果を都道府県知事に送付するものとすること。

3 都道府県知事は、1の調査測定の結果及び2の規定により送付を受けた調査測定の結果を公表するものとすること。

4 都道府県知事は、土壌のダイオキシン類による汚染の状況を調査測定するため、必要があるときは、その必要の限度において、その職員に、土地に立ち入り、土壌その他の物につき調査測定させ、又は調査測定のため必要な最少量に限り土壌その他の物を無償で集取させることができるものとすること。

三 設置者による測定

(第三十一条関係)

1 大気基準適用施設又は水質基準適用事業場の設置者は、政令で定めるところにより、大気基準適用施設にあっては当該大気基準適用施設から排出される排出ガス、水質基準適用事業場にあっては当該水質基準適用事業場から排出される排出水につき、そのダイオキシン類による汚染の状況について測定を行わなければならないものとすること。

2 廃棄物焼却炉である特定施設に係る1の測定を行う場合においては、併せて、その排出する集じん機によって集められたばいじん及び焼却灰その他の燃え殻につき、政令で定めるところにより、そのダイオキシン類による汚染の状況について、測定を行わなければならないものとすること。

3 大気基準適用施設又は水質基準適用事業場の設置者は、1又は2の規定により測定を行ったときは、その結果を都道府県知事に報告しなければならないものとすること。

4 都道府県知事は、3の規定による報告を受けたときは、その報告を受けた1及び2の測定の結果を公表するものとすること。

第九 ダイオキシン類による汚染の除去等の措置

一 対策地域の指定

(第三十二条関係)

1 都道府県知事は、土壌又は公共用水域の水底の底質のダイオキシン類による汚染の状況が第四の二の基準のうち土壌の汚染又は水質の汚濁に係るものを満たさない一定の地域であって、その汚染による人の健康に係る被害の発生を防止するため必要な措置が講ぜられる必要があるものとして政令で定める要件に該当するものを、ダイオキシン類汚染対策地域(以下「対策地域」という。)として指定することができるものとすること。

2 内閣総理大臣は、1の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、中央環境審議会の意見を聴かなければならないものとすること。

3 都道府県知事は、対策地域を指定しようとするときは、関係市町村長の意見を聴くとともに、ダイオキシン類対策協議会の意見を聴かなければならないものとすること。

二 ダイオキシン類汚染対策計画

(第三十四条関係)

1 都道府県知事は、対策地域を指定したときは、遅滞なく、ダイオキシン類汚染対策計画(以下「対策計画」という。)を定めなければならないものとすること。

2 対策計画においては、政令で定めるところにより、次に掲げる事項のうち必要なものを定めるものとすること。

1 対策地域の区域内にある土地の利用の状況に応じたダイオキシン類による土壌の汚染の除去又はこれによる被害の発生を防止するための事業の実施に関する事項

2 対策地域の区域内にあるダイオキシン類がたい積している河川その他の水域においてダイオキシン類による汚染を除去し、又はこれによる被害の発生を防止するための事業の実施に関する事項

3 都道府県知事は、対策計画を定めようとするときは、関係市町村長の意見を聴くとともに、ダイオキシン類対策協議会の意見を聴かなければならないものとすること。

4 都道府県知事は、対策計画を定めようとするときは、内閣総理大臣の同意を得なければならないものとすること。

5 内閣総理大臣は、4の同意をしようとするときは、関係行政機関の長と協議しなければならないものとすること。

三 対策計画における汚染事業者の責任の反映

(第三十五条関係)

 対策計画は、ダイオキシン類による汚染の除去等の緊急性に配慮しつつ、当該汚染に係る事業者の責任を適切に反映して、定められ、及び実施されるものとする。

第十 ダイオキシン類汚染適正除去センター

一 指定

(第三十七条関係)

 環境庁長官は、土壌又は公共用水域の水底の底質のダイオキシン類による汚染の適正な除去等の確保を図ることを目的として設立された民法第三十四条の法人であって、二に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国を通じて一に限り、ダイオキシン類汚染適正除去センター(以下「適正除去センター」という。)として指定することができるものとすること。

二 業務

(第三十八条関係)

 適正除去センターは、次に掲げる業務を行うものとすること。

1 事業者に対し、ダイオキシン類による汚染の除去等をするために必要な助言、指導又は情報の提供を行うこと。

2 対策計画に基づいてダイオキシン類による土壌の汚染の除去等の措置を行う都道府県等に対し、当該ダイオキシン類の汚染の除去等の実施に必要な資金の出えんその他の協力を行うこと。

3 1及び2に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。

三 基金

(第三十九条関係)

 適正除去センターは、二の1から3までに掲げる業務に関する基金を設け、これらの業務に要する費用に充てることを条件として事業者等から出えんされた金額の合計額をもってこれに充てるものとすること。

四 監督

(第四十条から第四十二条まで関係)

 適正除去センターの監督に関し、必要な規定を設けるものとすること。

第十一 損害賠償に関する無過失責任

(第四十三条関係)

 工場又は事業場における事業活動に伴うダイオキシン類の大気中への排出又はこれを含む汚水若しくは廃液の排出により、人の生命又は身体を害したときは、当該排出に係る事業者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずるものとすること。

第十二 ダイオキシン類対策協議会

(第四十九条関係)

1 都道府県に、この法律の規定によりその権限に属させられた事項について調査審議するため、ダイオキシン類対策協議会(以下「協議会」という。)を置くものとすること。

2 協議会は、都道府県知事に対し、第六の二の4の規定による申出を行うよう意見を述べることができるものとすること。

3 協議会の委員は、次に掲げる者のうちから、それぞれ都道府県知事が任命するものとすること。

1 学識経験のある者

2 当該都道府県の住民

3 ダイオキシン類に関する活動を行う民間の団体の推薦する者

第十三 雑則

一 報告及び検査

(第五十条関係)

 都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、特定施設を設置している者に対し、特定施設の状況その他必要な事項の報告を求め、又はその職員に、特定事業場に立ち入り、特定施設その他の物件を検査させることができるものとすること。

二 食品に係る措置

(第五十二条関係)

 国は、食品のダイオキシン類による汚染につき、そのダイオキシン類による汚染の状況及びその摂取の状況に照らし必要があると認められるときは、第四の一の基準を踏まえて、国民の健康を確保する上で維持されることが望ましい安全性に関する基準の策定その他の必要な措置を講ずるものとすること。

三 労働者の健康確保のための措置

(第五十三条関係)

 国は、ダイオキシン類が発生する事業場等における労働者の健康を確保するため、事業者によりダイオキシン類に係る労働者の作業環境の測定及びその評価並びにその評価の結果に基づく必要な措置が適切に行われるよう、必要な法制上の措置を講ずるものとすること。

四 農林漁業者等に対する措置

(第五十四条関係)

 国は、ダイオキシン類による汚染に起因してその事業に影響を受ける農林漁業者等に対し、その事業の経営及び生活の安定を図るため、必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。

五 国の援助

(第五十六条関係)

 国は、工場又は事業場における事業活動等によるダイオキシン類による環境の汚染の防止又はその除去等のための施設の設置又は改善につき必要な資金のあっせん、技術的な助言その他の援助に努めるものとすること。

六 研究の推進等

(第五十七条関係)

1 国は、ダイオキシン類の処理に関する技術の研究、ダイオキシン類の人の健康に及ぼす影響の研究その他ダイオキシン類による環境の汚染の防止及びその除去等に関する研究を推進し、その成果の普及に努めるものとすること。

2 国は、ダイオキシン類発生原因物質を用いた製品の代替製品の開発その他のダイオキシン類発生回避措置を事業者が講ずるため必要となる技術の開発を推進し、その成果の普及に努めるものとすること。

七 条例との関係

(第六十条関係)

 この法律の規定は、地方公共団体が、大気基準適用施設以外の施設から大気中に排出される排出物又は水質基準適用事業場以外の工場若しくは事業場から排出される水に含まれるダイオキシン類の排出に係る事項に関し、条例で必要な規制を定めることを妨げるものではないものとすること。

第十四 罰則

(第六十二条から第六十七条まで関係)

 第六の一の3の規定に違反した者に対する罰則のほか所要の罰則を設けるものとすること。

第十五 その他

一 施行期日等

(附則第一条関係)

1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。ただし、次の1及び2に掲げる規定は、当該1又は2に定める日から施行するものとすること。

1 第八の一及び二の規定 公布の日

2 三による特定工場における公害防止組織の整備に関する法律に関する改正規定 公布の日から起算して二年を経過した日

2 第十一の規定は、この法律の施行後のダイオキシン類の排出による損害について適用するものとすること。

二 検討

(附則第二条関係)

 ダイオキシン類に関する規制の在り方については、この法律の目的を踏まえつつ、その時点において到達されている水準の科学的知見に基づき、検討が加えられ、その結果に基づき、必要な見直し等の措置が講ぜられるものとすること。

三 他の法律の一部改正

(附則第三条から附則第十一条まで関係)

 中小企業近代化資金等助成法、下水道法、公害防止事業費事業者負担法、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律、瀬戸内海環境保全特別措置法、公害健康被害の補償等に関する法律、地方自治法等の一部を改正する法律(平成十年法律第五十四号)及び環境庁設置法について、所要の改正を行うものとすること。

四 その他

 その他所要の規定の整備を行うものとすること。