参議院法制局

第144回国会参法第3号


解雇等の規制に関する法律案要綱

第一 目的(第一条関係)

 この法律は、解雇等について必要な規制を行うことにより、不当な解雇等が行われないようにするとともに、解雇等に際しての労働者の保護を図り、もって労働者の雇用の安定に資することを目的とするものとすること。

第二 解雇等の規制

一 解雇の制限(第四条関係)

 使用者は、次の(1)から(4)までのいずれかに該当する場合を除いては、労働者を解雇することができないものとすること。

(1) 労働者が、勤務成績が著しく良くない場合、負傷、疾病又は障害のため職務の遂行ができない場合その他職務に必要な適性を著しく欠く場合

(2) 労働者が企業の服務上の規律に著しく反した場合

(3) 労働者が労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約(特定の事業場に雇用される労働者の過半数を代表する労働組合との間で締結されるものに限る。)に基づいており、かつ、労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)第七条第一号本文の規定に違反しない場合

(4) 次の要件を満たす場合

イ 事業の合理的な経営上労働者の数を減少させる必要があること。

ロ 解雇を回避するための最大限の努力が尽くされたこと。

ハ ロの努力が尽くされた上でなお解雇しなければ事業の経営に支障が生ずること。

ニ 解雇しようとする者を選定するための基準が合理的であり、かつ、当該基準に従った人選がなされたこと。

ホ イからニまでの事項等について、使用者と労働組合等との協議がなされたこと。

二 継続期間雇用労働者の労働契約の更新(第五条関係)

 継続期間雇用労働者(期間を定めて雇用される労働者(一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約又は労働基準法第十四条第二号に掲げる労働契約により雇用される労働者を除く。)であって、継続勤務した期間が一年(同条第一号又は第三号に掲げる労働契約により雇用される労働者にあっては、三年)を超えるものをいう。以下同じ。)が使用者に対し労働契約の更新をしない旨を通知しなかった場合においては、従前の労働契約と同一の条件で当該労働契約を更新したものとみなすものとすること。ただし、一のいずれかに該当する場合に相当する場合において、使用者が労働契約の更新を拒むときを除くものとすること。

三 解雇等の予告(第六条から第八条まで関係)

1 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、天災事変等のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合を除き、次に掲げる労働者の区分に応じ、少なくとも(1)からDまでに定める日数前にその予告をしなければならないものとし、当該日数前に予告をしない使用者は、当該日数分以上の平均賃金を支払わなければならないものとすること。

(1) 十五年以上継続勤務した労働者 百八十日

(2) 十年以上十五年未満継続勤務した労働者 百五十日

(3) 五年以上十年未満継続勤務した労働者 百二十日

(4) 二年以上五年未満継続勤務した労働者 九十日

(5) (1)から(4)までに掲げる労働者以外の労働者 三十日

2 1の予告の日数は、一日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができるものとすること。

3 1は、二月以内の期間を定めて雇用される労働者、季節的業務に四月以内の期間を定めて雇用される労働者及び試みの雇用期間中の労働者については、原則として適用しないものとすること。

4 1について、継続期間雇用労働者及び一月を超えて引き続き雇用されるに至った日々雇用される労働者も同様に取り扱うものとすること。

四 解雇等の理由に関する書面の交付(第九条関係)

1 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、解雇の予告又は解雇に際し、当該労働者に対し、一のいずれに該当するかを明らかにした書面を交付しなければならないものとすること。

2 1について、継続期間雇用労働者も同様に取り扱うものとすること。

五 再就職の準備のための有給休暇(第十条及び第十一条関係)

1 使用者は、一の(4)に該当する場合又は労働者が業務上の負傷、疾病若しくは障害のため職務の遂行ができない場合における解雇をしようとする場合において、三の1の予告をしたときは、当該予告に係る労働者に対し、一日又は一時間を単位とする十労働日の再就職の準備のための有給休暇を与えなければならないものとすること。

2 1について、継続期間雇用労働者も同様に取り扱うものとすること。

3 使用者は、1又は2による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならないものとすること。

六 使用者の求めに応じた退職の意思表示の取消し(第十二条関係)

 使用者の求めに応じて退職の意思表示(転籍についての同意を除く。)をした労働者は、当該退職の意思表示をした日から起算して十四日を経過するまでの間は、書面により当該退職の意思表示の取消しをすることができるものとすること。

七 出向及び転籍(第十三条関係)

1 使用者は、労働者の同意を得なければ、当該労働者に出向又は転籍をさせることができないものとすること。

2 使用者は、出向又は転籍について労働者の同意を得ようとする場合においては、その旨及び次に掲げる事項を記載した書面を当該労働者に交付するとともに、同意を得るための期間として当該書面を交付する日から起算して三十日以上の期間を定めて当該労働者にこれを通知しなければならないものとすること。

(1) 出向先等の氏名又は名称

(2) 出向又は転籍の期間を定める場合においては、当該期間

(3) 出向先等における労働条件

(4) 出向又は転籍に伴い賃金等について使用者が講ずる措置

3 使用者は、出向又は転籍について労働者の同意を得た場合においては、速やかに、当該同意に係る2に掲げる事項を記載した書面を当該労働者に交付しなければならないものとすること。

4 3により交付された書面に記載された事項が事実と相違する場合においては、労働者は、出向又は転籍についての同意を取り消すことができるものとすること。

5 使用者は、労働者が出向又は転籍について同意しなかったことを理由として、当該労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること。

八 就業の拒否の制限(第十四条関係)

 使用者は、次のいずれかに該当する場合を除いては、労働者の就業を拒んではならないものとすること。

(1) 他の法令の定めるところにより労働者を就業させてはならない場合

(2) 労働者に対する制裁として合理性が認められる場合

(3) 事業の経営上労働者の就業を拒むことについて合理的な理由があると認められる場合として労働省令で定める場合

第三 適用除外(第二十五条関係)

一 この法律の規定は、第二の三の1及び2の規定等を除き、国家公務員及び地方公務員については、適用しないものとすること。

二 この法律は、船員については、適用しないものとすること。

第四 その他

 その他所要の規定の整備を行うものとすること。

第五 附則

一 施行期日(附則第一条関係)

 この法律は、平成十一年七月一日から施行するものとすること。

二 経過措置(附則第二条及び第三条関係)

 この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるものとすること。