参議院法制局

第143回国会参法第1号


金融機能の正常化に関する特別措置法案要綱

第一 目的

 この法律は、金融機関の破綻が相次いで発生し、我が国の金融の機能が大きく低下するとともに、金融機関の救済のために多額の公的資金が投入されている状況にあることにかんがみ、金融機関の自己責任の原則にのっとり我が国の金融の機能の安定及びその正常化を図るため、金融機関の破綻の処理の原則を定めるとともに、金融機関の貸付けの投機性等を明らかにした金融機関の財務内容の開示並びに破綻した金融機関の預金保険機構(以下「機構」という。)による管理及び承継銀行の設立の制度を設けること等により信用秩序の維持と預金者等の保護を確保することを目的とする。

(第1条関係)

第二 金融機関の破綻処理の原則

 我が国の金融の機能の安定及びその正常化を図るため、金融監督委員会が講ずる金融機関の破綻に対する施策は、次に掲げる原則によるものとし、平成13年3月31日までに実施するものとする。

(1) 金融機能の安定及びその正常化を図るための費用は、自己責任の原則にのっとり金融機関の負担によるべきものであること。

(2) 預金者等を保護するものとすること。

(3) 金融機関の金融仲介機能を維持するものとすること。

(4) 金融機関の破綻処理に係る費用が最小となるようにすること。

(第3条関係)

第三 金融機関の財務内容の透明性の確保

一 資産査定及びその結果等の報告

1 金融機関は、債権その他の資産について査定を行い、その結果及び貸付資金の使途並びに不良債権に対する引当ての状況を金融監督委員会に報告しなければならないこととする。

2 1の査定とは、回収不能となる危険性又は価値の毀損の危険性に応じて資産を区分することをいうこととする。

(第4条関係)

二 資産査定結果等の公表

 金融機関は、一の1の査定を行ったときは、その区分に係る資産の合計額及び貸付資金の使途別の合計額、不良債権に対する引当ての状況等を公表しなければならないこととする。

(第5条関係)

三 虚偽報告等に係る罰則

1 金融機関が、一の1に違反して虚偽の報告をしたときは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処することとする。

2 金融機関が、一の1に違反して報告を怠ったときは、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処することとする。

(第34条関係)

第四 金融機関の破綻の処理

一 破綻金融機関の機構による管理

1 金融監督委員会は、金融機関が次に掲げる要件に該当すると認める場合、当該金融機関に対し、機構による業務及び財産の管理を命ずる処分をすることができることとする。

(1) 金融機関がその財産をもって債務を完済することができない場合その他金融機関がその業務若しくは財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれがあると認める場合又は金融機関が預金等の払戻しを停止した場合であること。

(2) 当該金融機関について営業譲渡等が行われないこと。

(3) その業務の全部の廃止又は解散が行われる場合には、当該金融機関が業務を行っている地域又は分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあること。

(第6条関係)

2 1による管理を命ずる処分があったときは、被管理金融機関を代表し、業務の執行並びに財産の管理及び処分を行う権利は、機構に専属することとする。

(第7条関係)

3 機構は、被管理金融機関の取締役、監査役等に対し、被管理金融機関の業務及び財産の状況につき報告を求め、又は帳簿、書類その他の物件を検査することができることとする。

(第12条関係)

4 機構は、被管理金融機関の取締役又は監査役等の職務上の義務違反に基づく民事上の責任を履行させるため、訴えの提起その他の必要な措置をとらなければならないこととする。

(第13条第1項関係)

5 機構は、被管理金融機関の業務及び財産の管理に関する業務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならないこととする。

(第13条第2項関係)

二 機構のあっせん

 機構は、金融機関が一の1の(1)に該当すると認めるときは、当該金融機関の営業譲渡等のあっせんを行うことができることとする。

(第22条関係)

三 承継銀行の設立等

1 機構は、被管理金融機関の業務を引き継がせるため、その出資により、承継銀行(営業の譲受け等により被管理金融機関の業務を引き継ぎ、かつ、当該引き継いだ業務を暫定的に維持継続することを主たる目的とする銀行をいう。)を設立し、被管理金融機関の業務承継に関する協定を締結することができることとする。

(第23条、第24条関係)

2 機構は、承継銀行に対し、資金の貸付け又は債務の保証を行うことができることとする。また、承継銀行の業務の実施により生じた損失の補てんを行うことができることとする。

(第25条、第26条関係)

第五 その他

一 施行期日

 この法律は、金融監督委員会設置法の施行の日から施行する。

(附則第1条関係)

二 経過措置その他所要の規定を設ける。