参議院法制局

第142回国会参法第3号


被災者生活再建支援法案要綱

第一 総則

一 目的

 この法律は、自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者であって経済的理由等によって自立して生活を再建することが困難なものに対し、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して被災者生活再建支援金を支給するための措置を定めることにより、その自立した生活の開始を支援することを目的とすること。

(第一条関係)

二 定義

(1) 自然災害とは、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象により生ずる被害をいうものとすること。

(第二条第一号関係)

(2) 被災世帯とは、政令で定める自然災害により、その居住する住宅が全壊した世帯その他これと同等の被害を受けたと認められる世帯として政令で定めるものをいうものとすること。

(第二条第二号関係)

第二 被災者生活再建支援金の支給

一 被災者生活再建支援金の支給

 都道府県は、当該都道府県の区域内において被災世帯となった世帯のうち次の(1)及び(2)に掲げるものの世帯主に対し、自立した生活を開始するために必要な経費として政令で定めるものに充てるものとして、それぞれ(1)又は(2)に定める額を超えない額の被災者生活再建支援金(以下「支援金」という。)の支給を行うものとすること。

(第三条関係)

(1) 当該世帯に属する者の総理府令で定めるところにより算定した収入の合計額((2)において「収入合計額」という。)が五百万円以下である世帯 百万円

(2) 収入合計額が五百万円を超え八百万円以下である世帯であって、その世帯主の年齢が六十歳以上であるもの(収入合計額が五百万円を超え七百万円以下である世帯にあっては、その世帯主の年齢が四十五歳以上六十歳未満である世帯を含む。)又は総理府令で定める要援護世帯であるもの 五十万円

二 支給事務の委託

1 都道府県は、議会の議決を経て、支援金の支給に関する事務の全部を第三の一の1に規定する基金に委託することができるものとすること。

(第四条第一項関係)

2 都道府県(当該都道府県が1の規定により支援金の支給に関する事務の全部を第三の一の1に規定する基金に委託した場合にあっては、当該基金)は、支援金の支給に関する事務の一部を市町村に委託することができるものとすること。

(第四条第二項関係)

三 政令への委任

 支援金の額の算定基準その他支援金の支給に関し必要な事項は、政令で定めるものとすること。

(第五条関係)

第三 被災者生活再建支援基金

一 指定等

1 内閣総理大臣は、被災者の生活再建を支援することを目的とする民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の法人であって、二に規定する業務(以下「支援業務」という。)を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国に一を限って、被災者生活再建支援基金(以下「基金」という。)として指定することができるものとすること。

(第六条第一項関係)

2 内閣総理大臣は、1の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、自治大臣に協議するものとすること。

(第六条第二項関係)

二 業務

 基金は、次に掲げる業務を行うものとすること。

(第七条関係)

(1) 第二の一の規定により支援金を支給する都道府県(第二の二の1の規定により支援金の支給に関する事務の全部を基金に委託した都道府県を除く。)に対し、当該都道府県が支給する支援金の額に相当する額の交付を行うこと。

(2) 第二の二の1の規定により都道府県の委託を受けて支援金の支給を行うこと。

(3) (1)及び(2)の業務に附帯する業務を行うこと。

三 費用の支弁

 基金は、第二の二の1の規定により都道府県の委託を受けて支援金の支給を行うときは、支援金の支給に要する費用の全額を支弁するものとすること。

(第八条関係)

四 運用資金等

1 基金は、支援業務の運営に必要な経費の財源をその運用によって得るために運用資金を設けるものとすること。

(第九条第一項関係)

2 都道府県は、基金に対し、1の運用資金に充てるために必要な資金を、相互扶助の観点を踏まえ、世帯数その他の地域の事情を考慮して、拠出するものとすること。

(第九条第二項関係)

3 都道府県は、2の規定によるほか、基金が支援業務を運営するために必要があると認めるときは、基金に対し、必要な資金を拠出することができるものとすること。

(第九条第三項関係)

五 運営委員会

1 基金は、運営委員会を置くものとすること。

(第十条第一項関係)

2 次に掲げる事項は、運営委員会の議決を経なければならないものとすること。

(第十条第二項関係)

(1) 六の1に規定する業務規程の作成及び変更

(2) 七の1に規定する事業計画書及び収支予算書の作成及び変更

3 運営委員会は、2に定めるもののほか、支援業務の運営に関する重要事項について、基金の代表者の諮問に応じて審議し、又は基金の代表者に意見を述べることができるものとすること。

(第十条第三項関係)

4 運営委員会の委員は、都道府県知事の全国的連合組織の推薦する都道府県知事をもって充てるものとすること。

(第十条第四項関係)

六 業務規程の認可

1 基金は、支援業務を行うときは、当該業務の開始前に、当該業務の実施に関する規程(2において「業務規程」という。)を作成し、内閣総理大臣の認可を受けなければならないものとすること。これを変更しようとするときも、同様とするものとすること。

(第十一条第一項関係)

2 内閣総理大臣は、業務規程が支援業務の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、業務規程を変更すべきことを命ずることができるものとすること。

(第十一条第二項関係)

七 事業計画等

1 基金は、毎事業年度、総理府令で定めるところにより、支援業務に関し事業計画書及び収支予算書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならないものとすること。これを変更しようとするときも、同様とするものとすること。

(第十二条第一項関係)

2 基金は、総理府令で定めるところにより、毎事業年度終了後、支援業務に関し事業報告書及び収支決算書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならないものとすること。

(第十二条第二項関係)

八 その他

 基金について、経理の区分、役員等の秘密保持義務、報告の徴収、監督命令及び指定の取消しに関する規定を設けるものとすること。

(第十三条から第十七条まで関係)

第四 国の補助等

一 国の補助

 国は、第三の二の(1)の規定により基金が交付する額及び第三の二の(2)の規定により基金が支給する支援金の額の二分の一に相当する額を補助するものとすること。

(第十八条関係)

二 国の配慮

 国は、第三の四の2及び3の規定に基づく都道府県の基金に対する拠出が円滑に行われるよう適切な配慮をするものとすること。

(第十九条関係)

第五 雑則

一 公課の禁止

 租税その他の公課は、支援金として支給を受けた金銭を標準として、課することができないものとすること。

(第二十条関係)

二 政令への委任

 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定めるものとすること。

(第二十一条関係)

第六 罰則

 所要の罰則を設けるものとすること。

(第二十二条から第二十四条まで関係)

第七 附則 

一 施行期日等

 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行し、第二の一(第二の二の1の規定により支援金の支給に関する事務の委託があった場合を含む。)の規定は、この法律の施行の日の属する年度の翌年度以降の年度において、都道府県の基金に対する資金の拠出があった日として内閣総理大臣が告示する日以後に生じた自然災害により被災世帯となった世帯について適用するものとすること。

(附則第一条関係)

二 検討

 自然災害により住宅が全半壊した世帯に対する住宅再建支援の在り方については、総合的な見地から検討を行うものとし、そのために必要な措置が講ぜられるものとすること。

(附則第二条関係)

第八 その他

 その他所要の規定を設けるものとすること。