参議院法制局

第142回国会参法第6号


国会議員等のあっせん利得行為等の処罰に関する法律(案)

(目的)

第一条 この法律は、国会議員等が、公選により国民又は住民の厳粛な信託を受け、高い廉潔を保持して、全体の利益のために奉仕すべき責務を負っていることにかんがみ、国会議員等が特定の者に不当に利益を得させる目的で、その権限に基づく影響力を利用してあっせん行為をし、その報酬を受けること等を処罰することにより、政治倫理の確立及び公務の運営における公正の確保に資することを目的とする。

(定義)

第二条 この法律において「国会議員等」とは、衆議院議員、参議院議員、都道府県の議会の議員若しくは長又は市町村(特別区を含む。)の議会の議員若しくは長をいう。

2 この法律において「処分」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう。

3 この法律において「公務員」とは、刑法(明治四十年法律第四十五号)第七条第一項に規定する公務員をいう。

(国会議員等あっせん利得)

第三条 国会議員等が、請託を受け、当該請託をした者又は第三者に不当に利益を得させる目的で、処分又は契約に関する事務に従事する公務員に対し、その権限に基づく当該事務に対する影響力を利用して、当該事務につきあっせんをすること又はしたことの報酬として、財産上の利益を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。

(国会議員等あっせん第三者利得)

第四条 国会議員等が、請託を受け、当該請託をした者又は第三者に不当に利益を得させる目的で、処分又は契約に関する事務に従事する公務員に対し、その権限に基づく当該事務に対する影響力を利用して、当該事務につきあっせんをすること又はしたことの報酬として、第三者に財産上の利益を供与させ、又はその供与の要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。

(財産上の利益の供与等)

第五条 第三条又は前条に規定する財産上の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金に処する。

(没収及び追徴)

第六条 第三条又は第四条の場合において、犯人又は情を知った第三者が収受した財産上の利益は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

(国外犯)

第七条 第三条及び第四条の罪は、刑法第四条の例に従う。

附 則

(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。

(公職選挙法の一部改正)

第二条 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の一部を次のように改正する。

 第十一条第一項第四号中「))又は」を「))若しくは」に改め、「第百九十七条の四((あつせん収賄))の罪」の下に「又は国会議員等のあっせん利得行為等の処罰に関する法律(平成十年法律第   号)第三条((国会議員等あつせん利得))若しくは第四条((国会議員等あつせん第三者利得))の罪」を加える。

(義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律の一部改正)

第三条 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(昭和三十八年法律第百八十二号)の一部を次のように改正する。

 第十八条第一項第一号ハ中「第二百三十三条の罪」の下に「若しくは国会議員等のあっせん利得行為等の処罰に関する法律(平成十年法律第   号)第五条の罪」を加える。

(民事執行法の一部改正)

第四条 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)の一部を次のように改正する。

 第六十五条第三号中「又は」を「若しくは」に改め、「第百九十八条」の下に「又は国会議員等のあっせん利得行為等の処罰に関する法律(平成十年法律第   号)第三条から第五条まで」を加える。

 

理 由

 政治倫理の確立及び公務の運営における公正の確保に資するため、国会議員等が特定の者に不当に利益を得させる目的で、その権限に基づく影響力を利用してあっせん行為をし、その報酬を受けること等を処罰する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。