参議院法制局

第142回国会第4号


中水道の整備の促進に関する法律(案)

(目的)

第一条 この法律は、水が貴重な資源であることにかんがみ、中水道整備促進地域の指定その他の中水道の整備の促進に関する措置等を定めることにより、水資源の有効利用を図るとともに、下水道の負担を軽減し公共用水域の水質の保全に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この法律において「雑用水」とは、人の飲用及びこれに類する用途として政令で定めるもの以外の用途で水洗便所用水、冷房用水その他の政令で定めるものに供される水をいう。

2 この法律において「中水道」とは、導管及びその他の工作物により、建築物からの排水を再生処理し、又は下水処理水を再利用し、若しくは工業用水等を利用して、これらの水を雑用水として供給する施設の総体をいう。

3 この法律において「中水道施設」とは、中水道のための取水施設、貯水施設、導水施設、再生処理施設、送水施設、配水施設又は給水施設をいう。

4 この法律において「中水道事業」とは、他人の需要に応じて、中水道により雑用水を供給する事業をいう。

(中水道整備促進地域の指定)

第三条 国土庁長官、厚生大臣、通商産業大臣及び建設大臣(以下「主務大臣」という。)は、水の需給がひっ迫し、又はひっ迫するおそれがあり、水利用の合理化を図るため中水道施設の整備を促進することが特に必要であると認められる地域である旨の都道府県知事の申出に基づき、当該地域を中水道整備促進地域(以下「促進地域」という。)として指定することができる。

2 都道府県知事は、前項の申出をしようとするときは、中水道審議会及び関係市町村(特別区を含む。以下同じ。)の長の意見を聴かなければならない。

3 主務大臣は、第一項の規定により促進地域の指定をしようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長の意見を聴かなければならない。

4 主務大臣は、第一項の規定により促進地域の指定をしたときは、総理府令、厚生省令、通商産業省令、建設省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。

5 前各項の規定は、促進地域の指定の変更又は解除について準用する。

(大規模建築物における中水道施設の整備)

第四条 促進地域内において、当該促進地域における水の需給を一層ひっ迫させ、又はひっ迫させるおそれがあるほどの大量の水の使用が見込まれる建築物(複数の建築物を一体として水の使用量を見込む必要があるものとして政令で定める施設を含む。以下同じ。)として建築物の規模、建築物の利用者の数等について政令で定めるところにより都道府県知事が定める基準に該当する建築物(以下「大規模建築物」という。)を新築する者は、自ら、又は共同して建築物の用途、延べ面積等について政令で定めるところにより都道府県知事が定める基準に従い当該大規模建築物において必要とされる中水道施設を設置しなければならない。ただし、中水道事業を行う者から雑用水の供給を受けることができる場合においては、中水道施設のうち、当該中水道事業を行う者が設置するものについては、この限りでない。

2 都道府県知事は、大規模建築物を定める基準を定めるに当たっては、促進地域をその区域内に含む市町村における人口、土地利用その他の社会的条件、都市施設の整備の状況、水の需給の長期見通し等を勘案しなければならない。

3 都道府県知事は、第一項の基準を定めたときは、遅滞なく、総理府令、厚生省令、通商産業省令、建設省令で定めるところにより、これを公表するとともに、主務大臣に報告しなければならない。

4 前条第二項の規定は第一項の基準の決定について、同条第二項及び前二項の規定は第一項の基準の変更について、それぞれ準用する。

(指導及び助言)

第五条 都道府県知事は、促進地域内において大規模建築物を新築する者に対し、中水道施設の設置及び管理について必要な指導及び助言をすることができる。

(指示等)

第六条 都道府県知事は、促進地域内において大規模建築物を新築する者が、第四条第一項の規定に従っていないと認めるときは、その者に対し、同項の規定に従うべきことを指示することができる。

2 都道府県知事は、前項の規定による指示を受けた者がその指示に従わないときは、その旨を公表することができる。

(促進地域内における中水道事業の推進)

第七条 地方公共団体は、促進地域内において、中水道の整備を促進するため、自ら進んで、中水道事業を行うよう努めなければならない。

2 主務大臣は、促進地域内において中水道事業を行う者に対し、当該事業の適正かつ合理的な運営を確保するため必要な指導、助言及び勧告をすることができる。

(報告の徴収等)

第八条 主務大臣は、促進地域内において中水道事業を行う者に対して、この法律を施行するため必要な限度において、中水道事業の実施状況について報告を求めることができる。

2 都道府県知事は、促進地域内において大規模建築物を新築する者に対して、この法律を施行するため必要な限度において、中水道施設の設置の状況について報告させ、又はその職員に、中水道施設の所在の場所若しくは当該大規模建築物を新築する者の事業所若しくは事務所に立ち入り、中水道施設その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

3 前項の規定により立入検査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

4 第二項の規定による立入検査及び質問をする権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(地方公共団体に対する援助)

第九条 国は、中水道事業を行う地方公共団体に対し、政令で定めるところにより、その事業に要する費用の一部を補助するものとする。

2 国は、中水道事業を行う地方公共団体に対し、中水道施設の設置に必要な資金の融通又はそのあっせんに努めるものとする。

(中水道施設の設置者に対する援助)

第十条 国及び地方公共団体は、中水道施設を設置する者に対し、必要な資金の融通又はそのあっせん、経費の補助その他の援助を行うとともに、税制上必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(研究等の推進)

第十一条 国は、中水道に係る施設及び技術の研究、水質の試験及び研究、雑用水の適正かつ合理的な供給及び利用に関する調査及び研究その他中水道に関する研究及び試験並びに調査の推進に努めるものとする。

(中水道審議会)

第十二条 この法律の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議させ、及び都道府県知事の諮問に応じ中水道の整備の促進に関する重要事項を調査審議させるため、都道府県に、中水道審議会を置く。

2 中水道審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める基準に従い、都道府県の条例で定める。

(大都市の特例)

第十三条 この法律中都道府県知事の権限に属する事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下この条において「指定都市」という。)においては、当該指定都市の長が行うものとする。この場合においては、この法律中都道府県又は都道府県知事に関する規定は、指定都市又は指定都市の長に関する規定として指定都市又は指定都市の長に適用があるものとする。

(罰則)

第十四条 第八条第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者は、三十万円以下の罰金に処する。

第十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の刑を科する。

附 則

(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(国土庁設置法の一部改正)

第二条 国土庁設置法(昭和四十九年法律第九十八号)の一部を次のように改正する。

 第四条中第二十七号を第二十八号とし、第二十六号を第二十七号とし、第二十五号を第二十六号とし、第二十四号の次に次の一号を加える。

二十五 中水道の整備の促進に関する法律(平成十年法律第   号)の施行に関する事務を処理すること。

 第七条第一項中「第四条第二十五号ロ」を「第四条第二十六号ロ」に改める。

(厚生省設置法の一部改正)

第三条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。

 第五条第二十八号中「及び容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成七年法律第百十二号)」を「、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成七年法律第百十二号)及び中水道の整備の促進に関する法律(平成十年法律第   号)」に改める。

 第六条中第二十七号の五を第二十七号の六とし、第二十七号の二から第二十七号の四までを一号ずつ繰り下げ、第二十七号の次に次の一号を加える。

二十七の二 中水道の整備の促進に関する法律の定めるところにより、中水道整備促進地域を指定すること。

(通商産業省設置法の一部改正)

第四条 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。

 第四条第四十一号の次に次の一号を加える。

四十一の二 中水道の整備の促進に関する法律(平成十年法律第   号)の施行に関すること。

 第五条第一項第十六号の次に次の一号を加える。

十六の二 中水道の整備の促進に関する法律の定めるところにより、中水道整備促進地域を指定すること。

(建設省設置法の一部改正)

第五条 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。

 第三条第二十一号の次に次の一号を加える。

二十一の二 中水道の整備の促進に関する法律(平成十年法律第   号)の施行に関する事務を管理すること。

 

理 由

 水が貴重な資源であることにかんがみ、水資源の有効利用を図るとともに、下水道の負担を軽減し公共用水域の水質の保全に寄与するため、中水道整備促進地域の指定その他の中水道の整備の促進に関する措置等を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

この法律の施行に要する経費

 この法律の施行に要する経費は、平年度約三十二億円の見込みである。