参議院法制局

第141回国会参法第5号


市民公益活動法人法案要綱

第一 通則

一 目的

 この法律は、社会の構成員である市民が自主的かつ積極的に参加して行う市民公益活動を推進し、及び支援するため、市民公益活動を行う団体に対して法律上の能力を与える手続を整備する等の措置を講じ、もって社会一般の利益の増進及び多元的な社会の実現に寄与することを目的とすること。

(第一条関係)

二 基本理念

1 この法律は、多様な価値観を有する市民が社会の構成員としての自覚と責任に基づいて自発的に行う市民公益活動の展開が活力に満ちた社会の実現に不可欠なものであることにかんがみ、市民公益活動を行う団体の自主性及び自立性を尊重して運用されなければならないものとすること。

2 市民公益活動を行う団体は、市民公益活動が多様な価値観を有する市民の自発的意思による参加を基本とするものであることにかんがみ、その組織及び運営については、公正かつ透明性が確保されるようにしなければならないものとすること。

(第二条関係)

三 定義

1 「市民公益活動」とは、教育若しくは科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献、環境の保全又は国際社会における交流若しくは協力を目的とする活動(これらの活動に関する連絡又は助成を行う活動を含む。)その他の社会一般の利益の増進に寄与することを目的とする活動で、市民が行うものをいうものとすること。

2 「市民公益活動法人」とは、市民公益活動を行うことを目的とし、かつ、営利を目的としない団体であって、この法律の定めるところにより設立された法人をいうものとすること。

(第三条関係)

四 基準

 市民公益活動法人は、次に掲げる基準に適合するように運営されなければならないものとすること。

一 会員の数が十人以上であること。

二 政令で定める確実な方法により、五十万円以上の財産を基本基金として保有すること。

(第四条関係)

五 収益事業

 市民公益活動法人は、事業に支障がない限り、その収益を当該事業に充てるため、収益事業を行うことができるものとすること。

(第五条関係)

六 認証等の事務

 市民公益活動法人の認証、監督その他の事務は、特別の定めのある場合を除き、その主たる事務所が所在する都道府県が行うものとすること。

(第十条関係)

第二 市民公益活動法人の設立

一 発起人

 市民公益活動法人を設立するには、その会員になろうとする十人以上の者が発起人となり、設立趣意書、定款、事業計画書及び発起人名簿を作成し、その設立に賛同する者の寄附(以下「設立寄附」という。)を募らなければならないものとすること。

(第十一条関係)

二 設立寄附

 設立寄附は、次の各号のいずれにも該当するものでなければならないものとすること。

一 寄附(現物の寄附にあっては、財産の価額が十万円以上に限る。)の総額が百万円以上であること。

二 一万円以上の寄附をする者(法人でない社団又は財団を含む。)の数が二十人以上であること。

三 前号に規定する者のうち個人である者の数が十人以上であること。

(第十三条関係)

三 設立総会

1 発起人は、設立寄附につき二の要件が満たされたときは、都道府県の条例で定めるところにより、設立総会を開かなければならないものとすること。

2 発起人が作成した定款及び事業計画の承認その他設立に必要な事項の決定は、設立総会の議決によらなければならないものとすること。

(第十四条関係)

四 認証

1 理事は、設立総会の終了後遅滞なく、市民公益活動法人の設立について、都道府県の条例で定めるところにより、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事(以下「所轄庁」という。)に対し、その認証を申請しなければならないものとすること。

2 所轄庁は、1の申請があったときは、定款の内容又は設立の手続が法令の規定に違反すると認められる場合を除き、認証しなければならないものとすること。

3 所轄庁は、1の申請があったときは、申請を受理した日から三月以内に、申請者に対し、書面をもって認証又は不認証の決定をした旨を通知しなければならないものとすること。この場合において、当該期間内に通知をしなかったときは、その期間満了の日に、認証があったものとみなすものとすること。

(第十五条−第十七条関係)

五 成立の時期

 市民公益活動法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立するものとすること。

(第十八条関係)

第三 市民公益活動法人の組織及び管理

一 会員

 会員は、会員総会において、各々一個の議決権及び選挙権を有するものとすること。

(第二十条関係)

二 役員

 役員として、理事三人以上及び監事一人以上を置き、会員総会において選挙するものとし、親族等の排除を定めるとともに、その過半数が日本国内に住所を有することで足りるものとすること。

(第二十一条−第三十一条関係)

三 事業報告書等の作成及び公開

1 市民公益活動法人は、毎事業年度終了後三月以内に、政令で定めるところにより、事業報告書、財産目録、貸借対照表、収支計算書・損益計算書及び役員の報酬に関する事項を記載した書面を作成し、これらを各事務所に備え置かなければならないものとすること。

2 市民公益活動法人は、毎事業年度終了後三月以内に、都道府県の条例で定めるところにより、1の書類の写しを所轄庁に提出しなければならないものとすること。この場合において、所轄庁は、都道府県の条例で定めるところにより、当該書類の写しを公開するものとすること。

3 会員その他の利害関係人は、理事に対し、1の書類の閲覧を求めることができるものとすること。この場合において、理事は、正当な理由がある場合を除き、これを拒んではならないものとすること。

(第三十三条関係)

第四 市民公益活動法人の解散及び合併

 市民公益活動法人の解散事由を定めるとともに、他の市民公益活動法人と合併することができるものとすること。

(第三十五条−第四十四条関係)

第五 市民公益活動法人に対する監督

一 報告及び検査

1 所轄庁は、市民公益活動法人が法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は定款に違反すると認められる相当な理由があるときは、当該市民公益活動法人に対し、その業務若しくは財産の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、当該市民公益活動法人の事務所等に立ち入り、その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿、書類等を検査させることができるものとすること。

2 所轄庁でない都道府県知事は、当該都道府県の区域内において事業を行う市民公益活動法人の当該事業について、1の例により1の措置をとることができるものとすること。

(第四十五条関係)

二 改善命令等

1 所轄庁は、市民公益活動法人が法令、法令に基づいてする行政庁の処分若しくは定款に違反し、又はその運営が著しく適正を欠くと認めるときは、当該市民公益活動法人に対し、期限を定めて、その改善のために必要な措置をとるべきことを命ずることができるものとすること。

2 所轄庁は、市民公益活動法人が1の規定による命令に従わないときは、当該市民公益活動法人に対し、期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は役員の解職を勧告することができるものとすること。

3 所轄庁でない都道府県知事は、当該都道府県の区域内において事業を行う市民公益活動法人に対し、当該都道府県の区域内における業務に関し、1の例により必要な措置をとるべきことを命じ、又は2の例により業務の停止を命ずることができるものとすること。

(第四十六条関係)

三 認証の取消し

 所轄庁は、市民公益活動法人が、二の1、2又は3による命令に従わない場合で他の方法により監督の目的を達することができないとき、又は正当な理由がなくて二年以上にわたってその目的とする事業を行わない場合は、当該市民公益活動法人の認証を取り消すことができるものとすること。

(第四十八条関係)

第六 雑則

一 連絡及び協力

 都道府県は、この法律の運用に関して、相互に連絡し、及び協力しなければならないものとすること。

(第四十九条関係)

二 税制上の優遇措置等

1 国及び地方公共団体は、市民公益活動の推進及び支援のため、市民公益活動法人が一般からの寄附金を募集することを容易にするための措置等必要な税制上の措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。

2 国及び地方公共団体は、市民公益活動の推進及び支援のため、必要な財政上及び金融上の措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。

(第五十条関係)

三 市民公益活動に関する理解を深めるための措置

 国及び地方公共団体は、広報活動等を通じて、広く市民公益活動に関する理解を深めるための措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。

(第五十一条関係)

四 罰則

 所要の罰則を設けるものとすること。

(第五十二条−第五十六条関係)

第七 施行期日等

一 施行期日

 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。

(附則第一項関係)

二 検討

 国は、公益法人制度その他営利を目的としない法人制度全般に関する検討を行い、その結果に基づいて民法を改正する等の必要な措置を講ずるものとすること。

(附則第二項関係)

第八 その他

 民法及び非訟事件手続法の所要の規定を準用する等必要な規定の整備を行うものとすること。