参議院法制局

第140回国会参法第7号


公職選挙法の一部を改正する法律案要綱

第一 参議院選挙制度改革の基本

 政党本位の比例代表選出議員の選挙を廃止して個人本位の広域選挙区選出議員の選挙を創設することとし、それに伴い、従来の選挙区選出議員の選挙を都道府県選挙区選出議員の選挙とすること。


第二 参議院議員の定数

 参議院議員の定数は、二百人とし、そのうち、七十人を広域選挙区選出議員、百三十人を都道府県選挙区選出議員とすること。

(第四条関係)

第三 広域選挙区選出議員の選挙

一 選挙事務の管理及び監督

 広域選挙区選出議員の選挙に関する事務は、中央選挙管理会が管理することとし、中央選挙管理会は都道府県の選挙管理委員会を指揮監督すること。

(第五条関係)

二 選挙区

 全国を五の区域に区分した選挙区において選挙することとし、その選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数は、次のとおりとすること。

選挙区

議員数

北海道・東北

北海道・青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県

八人

関東

茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県

二十四人

北陸・信越・東海

新潟県・富山県・石川県・福井県・長野県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県

十二人

近畿・四国

滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県・徳島県・香川県・愛媛県・高知県

十四人

中国・九州

鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県・福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県

十二人

(第十二条、第十四条及び別表第三関係)

三 投票

 投票は、候補者一人の氏名を記載して行うこと。

(第四十六条関係)

四 立候補

1 候補者の届出

(1) 候補者となろうとする者は、当該選挙の期日の公示又は告示があった日に、文書でその旨を当該選挙長に届け出なければならないこと。

(第八十六条の三第一項関係)

(2) (1)のほか、推薦届出による立候補もできること。

(第八十六条の三第二項関係)

2 供託

(1) 候補者の届出をしようとする者は、候補者一人につき、六百万円を供託しなければならないこと。

(第九十二条関係)

(2) 候補者の得票数が、当該選挙区の選挙すべき議員の数をもって有効投票の総数を除して得た数の十分の一に達しないときは、供託物は、国庫に帰属すること。

(第九十三条関係)

五 当選人

 有効投票の最多数を得た者をもって当選人とすること。当選人を定めるに当たり得票数が同じであるときは、選挙会において、選挙長がくじで定めること。ただし、当該選挙区の選挙すべき議員の数をもって有効投票の総数を除して得た数の六分の一以上の得票がなければならないこと。

(第九十五条関係)

六 当選人の繰上補充又は議員の欠員が生じた場合の繰上補充

 当選人の繰上補充又は議員の欠員が生じた場合の繰上補充は、繰上補充事由が選挙の期日から三箇月以内に生じた場合においては五のただし書の得票者で当選人とならなかった者の中から、繰上補充事由が選挙の期日から三箇月経過後に生じた場合においては得票数が同じであるためにくじで当選人を定めたときに当選人とならなかった者の中から行うこと。

(第九十七条及び第百十二条関係)

七 特別選挙

1 再選挙

 再選挙は、当選人が定数に達しないとき、訴訟の結果当選人が定数に達しなくなったとき等の場合で、当選人の更正決定又は繰上補充により当選人を定めることができるときを除くほか、在任期間を同じくする当選人の不足数が議員の欠員の数と通じて通常選挙における当該選挙区の議員の定数の四分の一を超えるに至ったときに行うこと。訴訟の結果選挙の全部又は一部が無効となったときも、再選挙を行うこと。

(第百十条関係)

2 補欠選挙

 補欠選挙は、議員の欠員が生じた場合の繰上補充により当選人を定めることができるときを除くほか、在任期間を同じくする議員の欠員の数が当選人の不足数と通じて通常選挙における当該選挙区の議員の定数の四分の一を超えるに至ったときに行うこと。

(第百十三条関係)

八 選挙運動

1 選挙事務所

 選挙事務所は、候補者一人につき選挙区の区域内の都道府県の数に相当する数を上限として設置することができること。

(第百三十一条関係)

2 自動車、船舶及び拡声機の使用

 自動車及び船舶は、主として選挙運動のために使用することはできず、拡声機は、候補者一人について一そろいに限り、主として選挙運動のために使用することができること。ただし、個人演説会(演説を含む。)の開催中、その会場において別に拡声機一そろいを使用することを妨げるものではないこと。

(第百四十一条第五項関係)

3 文書図画の頒布及び掲示

(1) 選挙運動用通常葉書及び選挙運動用ポスターは認めないこと。

(第百四十二条第一項及び第百四十三条第一項関係)

(2) 選挙運動用ビラは、候補者一人について二種類以内三十万枚とすること。この場合において、候補者は、供託物が国庫に帰属することとならない場合に限り、一定額の範囲内で選挙運動用ビラを無料で作成することができること。

(第百四十二条第一項及び第十項関係)

4 新聞広告

 候補者は、同一の寸法で、いずれか一の新聞に、十回を限り、無料で選挙に関して広告をすることができること。

(第百四十九条関係)

5 政見放送

 候補者は、政令で定めるところにより、日本放送協会及び一般放送事業者のラジオ放送又はテレビジョン放送の放送設備により、その政見を無料で放送することができること。この場合において、日本放送協会及び一般放送事業者は、その録音し若しくは録画した政見又は候補者が録音し若しくは録画した政見をそのまま放送すること。

(第百五十条関係)

6 集団演説会放送

 日本放送協会及び一般放送事業者は、8の集団演説会を録音し又は録画し、ラジオ放送又はテレビジョン放送によりこれをそのまま放送しなければならないこと。ただし、集団演説会において候補者がその割り当てられた時間を超えて演説を行ったときは、その超過する部分については、放送しないこと。

(第百五十条の三関係)

7 経歴放送

 日本放送協会は、候補者の氏名、年齢、党派別、主要な経歴等を、ラジオ放送によりおおむね五回及びテレビジョン放送により一回放送し、日本放送協会及び一般放送事業者は、テレビジョン放送による政見放送及び集団演説会放送を行う際にはテレビジョン放送による経歴放送をすること。

(第百五十一条関係)

8 集団演説会

 中央選挙管理委員会が選挙区ごとに指定する一の都道府県の選挙管理委員会が集団演説会を一回を限り開催すること。

(第百五十三条から第百五十九条まで関係)

9 個人演説会及び街頭演説

(1) 候補者は、公営施設又は公営施設以外の施設を使用して、個人演説会を開催することができること。

(第百六十一条及び第百六十一条の二関係)

(2) 街頭演説は、演説者がその場所にとどまり、標旗を掲げて行う場合に認められること。

(第百六十四条の五関係)

10 選挙公報の発行

 都道府県の選挙管理委員会は、候補者の氏名、経歴、政見等を掲載した選挙公報を、選挙ごとに一回発行すること。

(第百六十七条関係)

11 候補者の氏名等の掲示

 市町村の選挙管理委員会は、選挙の期日前七日から選挙の当日まで一投票区につき一箇所に、候補者の氏名及び党派別の掲示をしなければならないこと。

(第百七十三条から第百七十四条の三まで関係)

12 投票記載所の氏名等の掲示

 市町村の選挙管理委員会は、選挙の当日、投票所内の投票の記載をする場所その他適当な箇所に候補者の氏名及び党派別の掲示をしなければならないこと。

(第百七十五条関係)

13 交通機関の利用

 候補者は、運輸大臣の定めるところにより、無料で、十五枚の特殊乗車券の交付を受けることができること。

(第百七十六条関係)

九 罰則

 広域選挙区選出議員の選挙運動に係る罰則に関し所要の規定の整備を行うこと。

(第十六章関係)

第四 都道府県選挙区選出議員の選挙

 都道府県選挙区選出議員の選挙については、従前の選挙区選出議員の選挙と同様とすること。ただし、次に掲げる選挙区の定数については、次のように改めること。

宮城県(四人→二人) 福島県(四人→二人) 茨城県(四人→二人)

栃木県(四人→二人) 群馬県(四人→二人) 東京都(八人→十人)

新潟県(四人→二人) 長野県(四人→二人) 岐阜県(四人→二人)

京都府(四人→二人) 大阪府(六人→八人) 岡山県(四人→二人)

広島県(四人→二人) 熊本県(四人→二人) 鹿児島県(四人→二人)

第五 その他

一 この法律は、公布の日から施行し、改正後の公職選挙法の規定は、参議院議員の選挙についてはこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後その期日を公示される通常選挙並びにこれに係る再選挙及び補欠選挙について、参議院議員の選挙以外の選挙については施行日以後その期日を公示され又は告示される選挙について適用し、施行日の前日までにその期日を公示された参議院議員の通常選挙並びにこれに係る再選挙及び補欠選挙並びに施行日の前日までにその期日を公示され又は告示された選挙(参議院議員の選挙を除く。)については、なお従前の例によること。

(附則関係)

二 この法律の施行に伴い必要な経過措置等を定めること。

(附則関係)

三 その他所要の規定の整備を図ること。