参議院法制局

第140回国会参法第9号


民法の一部を改正する法律(案)

 民法(明治二十九年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

 目次中

「第四節 離婚

第一款 協議上の離婚

第二款 裁判上の離婚」

「第四節 離婚等

第一款 協議上の離婚

第二款 裁判上の離婚

第三款 失踪の宣告による婚姻の解消」

に改める。

 第七百二十八条に次の一項を加える。

 夫婦の一方が失踪の宣告を受けた後他の一方が再婚をした場合において、再婚後に失踪の宣告が取り消されたときは、前婚による姻族関係は、失踪の宣告の取消しによつて終了する。ただし、失踪の宣告後その取消し前にされた前項の意思表示の効力を妨げない。

 第七百三十一条を次のように改める。

第七百三十一条 十八歳に達しない者は、婚姻をすることができない。

 第七百三十三条第一項中「取消」を「取消し」に、「六箇月」を「起算して百日」に改め、同条第二項中「取消の前から懐胎していた場合には」を「取消しの日以後に出産したときは」に改める。

 第七百四十六条中「取消」を「取消し」に、「六箇月」を「起算して百日」に改める。

 第七百五十条中「夫又は妻の氏」を「夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏」に改め、同条に次の一項を加える。

 夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は、婚姻の際に、夫又は妻の氏を子が称する氏として定めなければならない。

 第七百五十一条第一項に後段として次のように加える。

 夫婦の一方が失踪の宣告を受けた後他の一方が再婚をした場合において、再婚後に失踪の宣告が取り消されたときも、同様とする。

 第七百五十一条第二項中「及び第七百二十八条第二項」を「並びに第七百二十八条第二項及び第三項本文」に改める。

 第七百五十四条を次のように改める。

第七百五十四条 削除

 「第四節 離婚」を「第四節 離婚等」に改める。

 第七百六十六条第一項中「その他」を「、父又は母と子との面会及び交流、子の監護に要する費用の分担その他の」に改め、同項後段を次のように改める。

 この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。

 第七百六十六条第二項中「子の利益のため必要があると認めるときは、」を削り、「子の監護をすべき者」を「必要があると認めるときは、前二項の規定による定め」に改め、同条第三項中「前二項」を「前三項」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。

 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項に規定する事項を定める。

 第七百六十八条第三項中「当事者双方がその協力によつて得た財産の額」を「離婚後の当事者間の財産上の衡平を図るため、当事者双方がその協力によつて取得し、又は維持した財産の額及びその取得又は維持についての各当事者の寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力及び扶助の状況、各当事者の年齢、心身の状況、職業及び収入」に改め、同項に後段として次のように加える。

 この場合において、当事者双方がその協力により財産を取得し、又は維持するについての各当事者の寄与の程度は、その異なることが明らかでないときは、相等しいものとする。

 第七百七十条第一項中「左の」を「次に掲げる」に、「訴」を「訴え」に改め、同項に次のただし書を加える。

 ただし、第一号又は第二号に掲げる場合については、婚姻関係が回復の見込みのない破綻に至つていないときは、この限りでない。

 第七百七十条第一項第三号中「明か」を「明らか」に改め、同項第四号及び第五号を次のように改める。

四 夫婦が五年以上継続して婚姻の本旨に反する別居をしているとき。

五 前二号のほか、婚姻関係が破綻して回復の見込みがないとき。

 第七百七十条第二項を次のように改める。

 裁判所は、前項の場合であつても、離婚が配偶者又は子に著しい生活の困窮又は耐え難い精神上の苦痛をもたらすときは、離婚の請求を棄却することができる。同項第四号又は第五号の場合において、離婚の請求をしている者が配偶者に対する協力及び扶助を著しく怠つていることによりその請求が信義に反すると認められるときも、同様とする。

 第四編第二章第四節に次の一款を加える。

第三款 失踪の宣告による婚姻の解消

第七百七十一条の二 夫婦の一方が失踪の宣告を受けた後他の一方が再婚をしたときは、再婚後にされた失踪の宣告の取消しは、失踪の宣告による前婚の解消の効力に影響を及ぼさない。

 第七百六十六条及び第七百六十八条の規定は、前項の場合にこれを準用する。

 第七百九十条第一項中「、父母の氏」の下に「(子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏)又は父母が第七百五十条第二項の規定により子が称する氏として定めた父若しくは母の氏」を加え、同項ただし書を削る。

 第七百九十一条第一項に次のただし書を加える。

 ただし、子の父母が氏を異にする夫婦であつて子が未成年であるときは、父母の婚姻中は、特別の事情があるときでなければ、これをすることができない。

第七百九十一条第二項中「許可を得ないで」を「規定にかかわらず」に改め、「父母の氏」の下に「又はその父若しくは母の氏」を加え、同条第三項中「前二項」を「前三項」に改め、同条第四項中「前三項」を「前各項」に改め、同条第二項の次に次の一項を加える。

 子の出生後に婚姻をした父母が氏を異にする夫婦である場合において、子が第七百五十条第二項の規定により子が称する氏として定められた父又は母の氏と異なる氏を称するときは、子は、父母の婚姻中に限り、第一項の規定にかかわらず、戸籍法の定めるところにより届け出ることによつて、その父又は母の氏を称することができる。ただし、父母の婚姻後に子がその氏を改めたときは、この限りでない。

 第八百十条中「養親の氏」の下に「(氏を異にする夫婦がともに養子をするときは、養親が第七百五十条第二項の規定により子が称する氏として定めた氏)」を加え、同条ただし書を削り、同条に次の二項を加える。

 氏を異にする夫婦の一方が配偶者の嫡出である子を養子とするときは、養子は、前項の規定にかかわらず、養親とその配偶者が第七百五十条第二項の規定により子が称する氏として定めた氏を称する。

 養子が婚姻によつて氏を改めた者であるときは、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、前二項の規定を適用しない。

 第八百十四条第二項を次のように改める。

 裁判所は、前項第一号又は第二号の事由があるときでも、一切の事情を考慮して縁組の継続を相当と認めるときは、離縁の請求を棄却することができる。

 第八百十九条第三項の次に次の一項を加える。

 父母の婚姻中にその一方が失踪の宣告を受けた後他の一方が再婚をした場合において、再婚後に失踪の宣告が取り消されたときは、親権は、再婚をした父又は母がこれを行う。

 第九百条中「左の」を「次の」に改め、同条第四号ただし書中「但し、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし」を「ただし」に改める。

附 則

(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行する。

(経過措置の原則)

第二条 改正後の民法(以下「新法」という。)の規定は、別段の定めがある場合を除き、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、改正前の民法の規定によって生じた効力を妨げない。

(失踪の宣告の取消しに関する経過措置)

第三条 新法第七百二十八条第三項、第七百五十一条、第七百七十一条の二及び第八百十九条第四項の規定は、この法律の施行前に失踪の宣告が取り消された場合には、適用しない。

(婚姻適齢に関する経過措置)

第四条 この法律の施行の際十六歳に達している女は、新法第七百三十一条の規定にかかわらず、婚姻をすることができる。

(夫婦の氏に関する経過措置)

第五条 この法律の施行前に婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、婚姻中に限り、配偶者との協議で、この法律の施行の日から二年以内に別に法律で定めるところにより届け出ることによって、婚姻前の氏に復することができる。

2 前項の規定により夫又は妻が婚姻前の氏に復することとなったときは、新法の規定の適用については、婚姻の際夫婦が称する氏として定めた夫又は妻の氏を新法第七百五十条第二項の規定により子が称する氏として定めた氏とみなす。

(相続の効力に関する経過措置)

第六条 この法律の施行前に開始した相続に関しては、なお、改正前の民法の規定を適用する。

 

理 由

 最近における国民の価値観の多様化及び婚姻法制の見直しに関する国際的な動向、これらを反映した世論の動向等にかんがみ、個人の尊重及び男女間の対等な関係の確立の見地から、選択的夫婦別氏制の導入、婚姻適齢及び再婚禁止期間の見直し、離婚原因における破綻主義の明確化等を行うとともに、嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分と同一とする必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。