法制執務コラム

いわゆる「白書」について

 昨年、いわゆる消費者白書を法定化する消費者基本法の一部を改正する法律(平成24年法律第60号)の立案に携わりました。その際、いわゆる「白書」について調べる機会がありましたので、ここで少し御紹介させていただきたいと思います。

 そもそも「白書」とは、一体どういうもので、何のために作成されているものなのでしょうか。これについては、以下のような内閣官房長官(坂本三十次君)による国会答弁があります。

「白書というものは中央官庁の編集する政府刊行物である、そしてその内容は政治、経済、社会の実態及び政府の施策の現状について国民に周知させることを主眼とするものである、こういうことであります。だから、国民の皆さんに現実の政治あるいは行政の動きをよくお知りをいただいて、そして御批判を願う、そして御協力をいただく、それが私は眼目だろうと思います。」(第118 回国会参議院予算委員会会議録第19 号23 頁(平2.6.6))

 このような「白書」について、その言葉の由来は、英国において政府が作成する外交報告書の表紙が白(white paper)であったことにあると言われており、その種類は、①法律に基づいて国会に提出した報告書を刊行するもの(いわゆる法定白書と呼ばれるもので、さきの消費者白書を始め現在30 程度存在)と、②閣議に報告又は配布し、閣議の了解を得た後に公表されるもの(例:防衛白書、警察白書)に大別されます。日本における一番初めの「白書」は、昭和22 年7月4日に国会に提出された「経済実相報告書」(現在の経済財政白書)であり、法定白書に限ると、翌23 年に国会に提出された「独占禁止白書」(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第44 条第1項)が最初であると思われます。

 法定白書には、議員立法により設けられたものが多くあります。これは、議員立法の発議者である国会議員が、議員立法により政府が中長期的に継続して取り組むべきとして定めた行政施策について、国権の最高機関たる国会、そして主権者たる国民が定期的にその内容を把握していくことが、民主的な行政にとって不可欠であるという認識を強く持たれていることの現れなのではないかと思います。各種行政施策が複雑難解で一般の国民には分かりにくいものになる一方で、インターネット上には様々な情報があふれている現状において、政府が「白書」において各種行政施策をまとまった形で国民に分かりやすく示すことは非常に重要なことであると思われます。

 「白書」は大きな書店では市販もされていますし、各府省のHPにも掲載されています。現在の行政施策のトピック的な事項などもよくまとまっていると思いますので、是非一度目を通してみてはいかがでしょうか。

(永野豊太郎/「立法と調査」NO.340・2013年5月)


※無断転載を禁ず

戻る


ページの先頭へ