法制執務コラム

いわゆる「改革法」について

 法律の中には、「改革基本法」や「改革推進法」といった題名が付されたものがあります。 平成13 年の中央省庁再編につながった「中央省庁等改革基本法」、ロースクールや裁判員 制度の創設等につながった「司法制度改革推進法」等は、御存じの方も多いはずです。第 180 回国会では、「社会保障制度改革推進法」が成立し、注目を集めました。この機会に、 これらの法律がどのような性質のもので、どのような意義を持つと考えられているのか、 見てみることにしましょう。

 これらの法律は、それ自体で制度改革の実施に必要な関連法の改正をしたり、具体的な 措置を講じたりするものではなく、制度改革の理念や講ずべき措置の基本的な方針を明ら かにし、それに沿って制度改革が実施されなければならない旨を規定する、いわば"改革 のプログラム"とでも言うべき法律です。このような型の法律をどのような名称で総称す るかは必ずしも定まっていませんが、ここでは「改革法」と呼ぶことにします。

 実際に制度改革を実施するためには、「改革法」とは別に、具体的な関連法の改正等を 行う法律を制定したり、財政上の措置を講じたりすることが必要となります。「改革法」の 中には、関連法の改正等を行う法案とセットで国会に提出されたものもありましたが、多 くは、関連法の改正等を行う法案に先行して、単独で提出されたものです。それらの「改 革法」では、政府に対し、その中で示している制度改革の大枠に沿って、必要な法案の提 出、財政上の措置等を行うことを義務付けることが多く、具体的に講ずべき措置に関する 計画の策定を義務付ける場合もあります。加えて、制度改革の実施期限、すなわち、制度 改革がいつまでに実施されなければならないかを定めている例も見受けられます。

 さらに、通常は、制度改革として具体的に講ずべき措置の内容の検討等を担う機関の設 置も定められています。例えば、「中央省庁等改革基本法」では、新体制への移行の推進に 関する総合調整、関係法律案の立案等を担う「中央省庁等改革推進本部」の設置が定めら れています。

 "先行して"提出される「改革法」は、こうした仕組みを通じて、対象とする制度改革 が複雑な制度設計、詳細な調査検討等を要するものである中、まずは、制度改革の大枠を 示しつつ、その実施を強く推進しようとするものであるといえます。

 先ほど挙げた「中央省庁等改革基本法」と「司法制度改革推進法」のように、成立した 「改革法」のほとんどは内閣提出の法律案でしたが、「改革法」の形式を採った法律案が議 員立法として提出されるケースも増えてきているように感じます。

 (高澤和也/「立法と調査」NO.334・2012年11月)


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