法制執務コラム

国務大臣の話

 首相官邸ホームページの閣僚名簿を見ると、職名について、国務大臣によって様々な表記が使用されているのに気が付いた方もいらっしゃるでしょう。

 では、各国務大臣の位置付けは、どのようになっているのでしょうか。

 そもそも、内閣総理大臣により任命された国務大臣は、主任の大臣として行政事務を分担管理することとされています(内閣法第3条第1項)。そして、国務大臣が、主任の大臣としてその事務を分担管理する行政機関が、内閣府、総務省等であり、これらの行政機関の長としての国務大臣(内閣府の長たる内閣総理大臣、総務大臣等)には、主任の行政事務に係る法律や政令の制定・改廃の案についての閣議請議等の権限が付与されています。

 ところで、国務大臣は、最大17人まで設置可能であるのに対し(同法第2条第2項ただし書)、府省の数が、現在12しかないことからも想像できるとおり、行政事務を分担管理しない国務大臣の存在を妨げるものではないとされています(同法第3条第2項)。「無任所大臣」という用語が使われることがありますが、これは、広義では、この行政事務を分担管理しない国務大臣のことを指します(狭義では、いずれの行政機関にも属しない国務大臣のことを指します。)。

 行政事務を分担管理しない国務大臣の例としては、内閣官房長官と内閣府の特命担当大臣が挙げられます。

 内閣官房長官は、内閣官房の事務を統轄する職として内閣官房に設置されるものですが、(同法第13条)、内閣官房に係る事項についての主任の大臣は、内閣総理大臣とされているため(同法第23条)、内閣官房長官は、行政事務を分担管理していないことになります。

 特命担当大臣は、内閣総理大臣を助け、命を受けて一定の内閣府の事務を掌理する職であり、内閣の重要政策に関して行政各部の施策の統一を図る場合に、内閣総理大臣によって内閣府に設置され、国務大臣をもって充てることとされています(内閣府設置法第9条)。なお、「公務員制度改革担当大臣」のように「○○担当大臣」と呼ばれる国務大臣(首相官邸ホームページの閣僚名簿では、「○○担当」と表記されています。)が置かれていることがあります。これは、特定の国務大臣にそのような担当を命じているということであって、特命担当大臣として内閣府の事務の担当を命じているものではありません。

 特命担当大臣には、法律上必置とされているもの(例:沖縄及び北方対策(同法第10条))もあれば、任意に設置されるものもあります。任意に設置される特命担当大臣の中には、一代の内閣限り設置されたものもあり、その時々の内閣が重視していた施策をうかがい知ることができて興味深いものがあります。

(安藤美幸/「立法と調査」NO.304・2010年5月)


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