法制執務コラム

法律の目次

 法律分野の某大手出版社が出版している六法の平成12年版を買われた方には、おやっと思われた方もおられるのではないでしょうか。従来は、出版物の多くの六法は、法律題名の次に編集上加えた施行・改正経緯の記述を設け、次にすぐ第1章の章名を置き、その次に第1条というように編集されていました(章建ての法律の場合)。ところが、本年版から、その出版社の六法では、施行・改正経緯に関する記述の次に目次というものが掲載されている法律が数多くあります。

 実は、国会において審議され、成立する法律で新規に制定されるものの多くには、内容理解や該当条文の検索の一助とすることを目的として、これと同様の目次が、もともと付されています(他の法律を改正する法律に目次が設けられることはまれなことです。)。このような目次ですが、従来あまり六法と呼ばれる書籍の中で見かけることがなかったのは、これらは編集上削除して掲載されることが多かったからのようです。

 新規に制定される「法律の多くには」といいましたが、そのとおり、新規に制定される法律でも目次が付されていないものもあります。では、目次を付すかどうかということには何か基準のようなものがあるのでしょうか。これに対する回答は、端的にいえば、法律が章建てになっているかどうかということになると思われます。目次が「第一章 総則(第一条-第△条)」というふうに記述されることからすれば、当然のことのようにも思われます。参考までに手短かにいいますと、章というのは、条数や内容的なまとまり具合によって、体系的な分かりやすさの観点から設けられるものです。

 このように目次は、法律の内容が章等に区分される場合に、その章名等を列記し、その章等の範囲となる対象条文の範囲を示すのが、基本的なスタイルになるわけですが、中には変わったものもあります。例えば、第147回国会で改正される前の公職選挙法(昭和25年法律第100号)の目次は、章名及びその対象条の列挙にとどまらず、章の中の各条について「第一条 (この法律の目的)」というように各条名に加えてその条の見出しを列挙することにより、各条の中身まで目次で分かるようにしていました。「あれ、六法にのってる目次には、そんなのないな。」と、思われたかもしれません。筆者の手持ちの六法をみると、公職選挙法の目次は、第1章から第17章までが基本的なスタイルで列挙されているだけです。おそらく、編集者の立場としては読者の分かりやすさと紙面構成のバランスとの兼ね合いから各条の中身の目次までは必要ないだろうというようなお考えで、このように編集されたのではないかと思います。(なお、公職選挙法は公職選挙法の一部を改正する法律(平成12年法律第62号)により改正され、各条の見出しまでを示す目次のスタイルは、通常の章名及びその範囲を示すスタイルに改められました。)

 このような非常に珍しい例のほかにも、ごく一般的な数多くの法律についても、法律の原文では目次の最後にくる「附則」というものが編集上削られています。法律には最低限でも法律の施行期日を定める必要があるのが一般的ですから、附則がないことはほとんどありません。したがって、六法上の目次に「附則」となくとも、附則があることに注意が必要になります。

(宮澤宏幸/「立法と調査」NO.219・2000年9月)


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