法制執務コラム

整備法と整理法

 先の通常国会〔第145回国会〕では、いわゆる中央省庁等改革関連法律案(関係17法律案の総称)、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案(以下「地方分権推進関係整備法」という。)等、行政の基本にかかわる重要な法律案が数多く成立しました。これらの法律案は、量的にも非常に大部であり、地方分権推進関係整備法の場合、法律案提出前から、マスコミなどによって広辞苑3冊分などとうわさされるほどの分量があり、実に500本近くの法律の改正をその中に含んでいます。

 同様に、いわゆる中央省庁等改革関連法律案では、「中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関する法律」と「独立行政法人通則法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律」とによって、二百数十本の法律の改正が行われています。

 これらの法律案がこれほどまでに大部となった理由としては、立法により実現しようとする内容が行政の基本にかかわるものであることと関連し、既存の数多くの法律の改正が行われている点が挙げられます。

 このように、新たな法律の施行等に伴って関係法律の改正が行われる場合であって、実質的な政策判断に基づいた改正も併せて行われるようなときには、「...(法の施行に伴う)関係法律の整備に関する法律」といった題名が付されることが多く、第145回国会では、先述した法律の他に、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」がこのようないわゆる「整備法」として成立しています。

 ところで、この「整備法」に似たものとして「整理法」と呼ばれるものがあります。これは、法律の制定改廃に伴って関係法律中の不要となった規定を削ったり、字句を改める等、必然的に行われる改正を内容とするものであり、通常「...(法の施行に伴う)関係法律の整理に関する法律」といった題名が付されます。「国家行政組織法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律」(昭和58年法律第78号)などはこの例です(なお、必然的に行われる改正という域を少しはみ出すような改正を伴う場合には、このように「整理等に関する法律」という題名とされることがあります。)。

 以上のように、整理法と整備法とは、もととなる法律の改正に伴い、必然的な字句の整理等にとどまるものか、それとも、実質的な政策判断にまで踏み込んだものかによって区別されます。

 通常は、もととなる法律の改正等に関連して他の法律の改正が行われる場合、整備法や整理法として独立させることなく、その法律の改正と併せて、一本の法律として提出されますが、関係法律の改廃が多数にのぼるときには、このように整備法なり整理法として独立させることが行われます。

 なお、このほかに、附則で規定するような内容について、量が非常に多い場合には、「...施行法」として独立させることがあり、最近では「介護保険法施行法」などがこの例です。

 さて、我が国には現在、1,600本以上もの法律があるわけですが、省庁再編の施行日や省庁名の変更に伴う措置を定めるため、今後1,300本ともいわれる関係法律の整理を内容とする法律案の提出が予定されています。この法律案がどのような題名とされるか注目されるところです。

(津田樹見宗/「立法と調査」NO.214・1999年11月)


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