法制執務コラム

法令中の「図」・「表」

 先日、国旗及び国歌に関する法律案が提出されましたが、この中で日章旗の制式と君が代の楽曲が図示されていたことに驚かれた方も多いのではないでしょうか。

 このように法令では、言葉で表現するだけでなく「図」を使って規定することがあります。

 「図」は、技術的な内容を定めた政令・省令などによく見られるもので、例えば、服制(徽章・制服の形状等)や建築の技術的基準、実験装置の規格などを定める場合が図示される典型的なものとなっています。

 もっとも、図示するのは、あくまで言葉で書くことが極めて困難な場合に限られます。例えば、色や大きさなどは言葉で表現できるわけですから、実色で実物大の図が載せられることはありません。日章旗も、日章の位置・大きさについては「中心 旗の中心」・「直径 縦の五分の三」、色については「日章 紅色」・「地 白色」と規定されています。

 この「図」と同様のものとして、「付録」、「様式」、「書式」などがあります。これらは、手続的な事項を定める省令や地方公共団体の規則などによく見られるものです。

 「付録」は主として計算式を規定する場合に、「様式」・「書式」は主として申請書、届出書等の様式を規定する場合に使われています。

 また、これらのほか、法令中によく使われるものとして、「表」があります。

 多くの事項を条文の中に列記しなければならない場合に、これを文章で表現すると、煩雑になって分かりにくくなることがあります。このような場合に、同一の性質を有する事項を「表」の形に整理することによって、その条文を簡単・明瞭なものにすることができるのです。

 この「表」は、(1)税法や給与関係法において多数の区分にそれぞれ対応した数額等を規定する場合、(2)各省設置法において地方支分部局の名称、位置及び管轄区域を規定する場合、(3)条数の多い法令を準用する場合において、多数の読替えを必要とする場合等に、よく使われています。

 この「表」の呼び方ですが、縦の線で区画されている区切りを「項」、横の線で区画されている区切りを「欄」と呼ぶこととなっています。

 これらの「図」や「表」などの置かれる位置としては、本則の条文中と法令の末尾とがあります。「表」は、複雑で長い場合や複数の条文に関係している場合には、「別表」として末尾に置かれるのが通例です。「図」や「様式」などは末尾に置かれることが多いようです。

 このように、「表」や「図」は、視覚的で分かりやすく、大変便利なものです。

 もっとも、現在の法令がモノクロ(白黒)表示であるがゆえの限界もあります。例えば、色は原則として言葉で書き表せるので、各部位に対応した色を指定すればよいのですが、形状と色彩が複雑な「図」の場合には、言葉で部位ごとの色を細かく指定するのはとても困難な作業となります。仮に将来、カラー表示の法令というものが可能になってくると、「色付きの図」というものが現れるのでしょうか。気になるところです。

(岡本令子/「立法と調査」NO.213・1999年9月)


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