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参議院法制局職員採用 I 種試験問題例

第2次試験【論文試験】(憲法・行政法・民法)…必要に応じ参照条文を配布

 【憲法】

  国家公務員のいわゆる天下りの規制を強化するとして、以下の内容の国家公務員法の一部改正法律(以下「改正法」という。)が成立し、来年4月1日から施行されることになったと仮定する。

@   一定の幹部級職員については、退職後5年間は退職前5年間に在籍していた府省と関係のある営利企業又は非営利法人に就職してはならない。
A   @に違反して就職した者には刑罰を科する。
B   天下りの現状が問題であることから、改正法の施行前に退職し、退職前5年間に在籍していた府省と関係のある営利企業又は非営利法人に就職している者についても、改正法の施行後も在職している場合には、@及びAを適用する。

  甲は、2年前に、ある省の局長を最後に国家公務員を退職し、ある社団法人に就職した。この就職については、当時の国家公務員法上は、問題はなかった。しかし、改正法の成立により、甲は改正法の施行までに社団法人を退職しなければならなくなった。甲は、改正法について違憲の疑いがあるとして、訴訟を検討している。

 以上を前提に次の問いに答えなさい。

1   甲の違憲の主張の論拠を挙げ、それについて論じなさい。
2   甲は、社団法人を退職しなくてすむように、来年4月1日の施行前に改正法の違憲無効確認訴訟を起こそうと考えているが、このような訴訟の憲法上の問題点について論じなさい。 


 【行政法】

  行政法における信義則(信義誠実の原則)について述べた上で、以下の事例についてどのように考えるべきか述べなさい。

1   甲は、所得税の申告に当たり、乙税務署内の相談コーナーで税務職員に相談し、当該税務職員の指導に従って申告をし、納税をした。
  しかし、当該税務職員が話した内容には法令の解釈の誤りがあり、その結果、甲の申告は、甲が本来納めるべき納税額より納税額が少なくなる申告となっていた。このため、甲に対して乙税務署長により更正処分がなされ、甲は、納税額が増加することとなり、増加分を新たに納めなければならなくなった。
 そこで、甲は、当該更正処分を不服として、乙税務署長に対する異議申立て、続いて国税不服審判所長に対する審査請求を行ったが、いずれも棄却されたため、取消訴訟を提起した。
2   Y村のA村長は、X会社に対して、工場の建設を熱心に勧め、工場建設のために村を挙げて全面的に協力することを約束し、村議会も村有地を工場用地としてXに譲渡する旨の議決を行った。そこで、Xは、工場誘致に応じることとし、敷地整地工事を行い、機械設備も発注した。
  ところが、その後まもなく行われた村長選挙で、Xの工場進出に反対する住民グループの代表Bが村長に当選し、Xが提出した建築確認申請書を県建築主事へ送付しないなど工場建設に不協力の態度をとったため、Xは、工場の建設操業を断念するに至った。
  そこで、Xは、村の工場誘致政策に協力して工場建設の準備を進めたために生じた損害の賠償をYに求めた。


 【民法】

  Xは、Y会社から一定業務の処理を請け負っているZ会社に雇用されたいわゆる社外労働者として、当該請負業務を遂行するために、Y会社の施設において、Z会社の指揮、監督の下で、作業に従事していた。
  Xは、当該請負業務以外のY会社の様々な雑務についても、Y会社との良好な関係を保ちたいとの思いから、任意に処理してきたが、次第に当該雑務の量が増加し、連日深夜に及ぶ残業を長期にわたり強いられることとなった。
 この間、Z会社は、Xの過酷な就労状況を把握していたにもかかわらず、Xの業務の軽減措置やXの健康に配慮した措置を何ら講じなかった。また、Y会社も、Z会社からXの就労状況について月ごとに報告を受けており、Xの過酷な就労状況を把握していたにもかかわらず、Xの業務の軽減措置やXの健康に配慮した措置をとるようZ会社に要請するなどの措置を何ら講じなかった。
  その結果、Xは、心身ともに疲労困憊(ぱい)した挙げ句、うつ病にかかり、自殺した。
 上記の事例において、Xの遺族がY会社及びZ会社の責任を追及するために考えられる民法上の手段について、複数の手段を示し、それぞれの手段の法的な相違点を比較しつつ、論じなさい。
(注)  民法上の観点から論ずるものとし、労働法固有の法律関係については考慮しなくてよい。
 
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